抄録
【背景】自己免疫性胃炎であるA型胃炎は抗壁細胞抗体によって胃底腺が傷害され、胃体部萎縮が起こる。最近では、H. pylori感染胃炎とA型胃炎の合併例の報告も増えてきている。H. pylori感染胃炎を背景に持つA型胃炎の診断は困難であることが多い。そこで、H. pylori感染状態とA型胃炎の内視鏡像の特徴を検討した。【方法】当院でA型胃炎と診断された症例を対象とした。A型胃炎の診断は内視鏡的に体部萎縮が強い逆萎縮を認めかつ抗壁細胞抗体10倍以上または抗内因子抗体陽性とした。H. pylori感染診断はウレアーゼ活性を用いない診断法(抗体法、便中抗原、鏡検)で行い、抗体法ではE-プレートの3をカットオフとした。H. pylori感染診断の結果から、未感染、現感染、既感染に分けて、それぞれの内視鏡像について後方視的に検討した。【結果】当院で2016年から2019年の間で、A型胃炎と診断された症例は31例で、年齢は33才から91才で中央値は73才で男女比は1対2であった。H. pylori感染状態では未感染が8例、現感染が1例、既感染が22例であった。9例は除菌前後で内視鏡観察がされ、平均観察期間は約1.8年であった。9例中8例で除菌後に萎縮の程度が増強ないしは範囲の進展が確認され、除菌後に初めてA型胃炎が疑われることが多かった。体部の腸上皮化生は未感染群で3/8、感染合併群では20/22に認め、地図状発赤も13/22で認めた。胃癌合併は未感染群で1/8、感染合併群で5/22であった。【結語】H. pylori感染合併A型胃炎は注意深い逆萎縮の診断が重要で、H. pylori感染がA型胃炎の病態に影響を与えている可能性が示唆された。