道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
膵EUS-FNA cytologyにおけるLiquid Based Cytology(LBC)の導入
東 学赤川 まい森山 貴史星 直樹久保 公利木村 伯子大原 正範
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 4 巻 1 号 p. 60-63

詳細
抄録
【緒言】超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)の普及に伴い、膵病変からの積極的な検体採取が可能となった。同時に、On-site cytologyが各施設で導入され、診断精度向上を目指した様々な工夫による検体処理方法が報告されている。当院では、2014年より2020年4月まで、83症例の膵EUS-FNAを実施し、標本作製の工夫を重ねてきた。今回、Liquid Based Cytology(LBC)を活用した標本作製法の有用性を報告する。 【対象と方法】2019年4月から2020年3月までに、同一細胞検査士により検体処理を行った膵EUS-FNA 18症例について後方視的に検討した。 【標本作製法】Liquid Based Cytology(LBC)用固定液であるCytoRichTMRED®(CR)を用い、①組織包埋に適さない微小白色組織片の圧挫、②吐出血液成分の塗沫、③穿刺針内洗浄液、④CRによる採取組織洗浄液の4種類のPapanicolaou標本を作製した。 【診断成績】18例中、浸潤性腺管癌16例、IPMA1例、NEC1例と病理診断され、このうち細胞診により異型または悪性を示唆した症例は17例(94.4%)で、検体不適例はなかった。 【考察及び結語】LBC法の活用により、出血性検体でも溶血力の強いCRで処理するため、細胞成分に富む白色糸状組織の肉眼的判別が容易となり、On-siteでの迅速細胞診を行わずとも、良質な細胞診標本及び組織成分を確保でき確定診断を得ることができる。また、乾燥変性の少ない良好な細胞診標本を得ることが可能となった。
著者関連情報
© 2021 道南医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top