抄録
【要旨】手指近位指節間関節(proximal interphalangeal: 以下PIP)損傷の治療は関節面の適合性と整復位の保持が重要であり、変形癒合した場合の治療は困難である。今回我々はShot Gun approachによって関節面を展開して矯正骨切り術を行った症例を経験したので報告する。【はじめに】PIP関節内骨折後変形治癒は疼痛、関節可動域制限、巧緻運動障害などの愁訴が残ることが多く治療に難渋する。関節面不適合や欠損に対しては可能な限り解剖学的な再建が要求される。手指PIP関節内変形治癒に対してShot Gun approachを用いて関節面を直視下に矯正骨切り、再建を行った症例について報告する。【症例】14歳女性、バスケットボール競技中に受傷した。受傷後1ヶ月で近医より当院紹介受診となった。X-P、CTでは中節骨掌側関節面約2/3の陥没骨片を認めた。PIP関節は拘縮しており可動性はほとんど無かった。受傷後1.5ヶ月で局所麻酔、Shot gun approachにより関節面を展開して変形癒合部の骨切り術を施行した。骨切り部はMini plateで内固定を行った。術後3ヶ月でPIP関節可動域は伸展0度、屈曲100度まで改善した。【考察】外傷などに起因する手指関節面変形癒合に対する手術には関節移植術、人工関節置換術、骨軟骨移植術、矯正骨切り術など各種報告されている。それぞれに利点欠点があるが今回は若年者で受傷から比較的経過が短いため矯正骨切り術による関節面の整復、内固定を選択した。Shot gun approachはPIP関節掌側から靭帯組織を切離して関節面をShot gunのように翻転することで良好な視野が確保できるため有用な方法である。本症例では良好な整復位と可動域が獲得できており短期ではあるが良好な成績であった。