抄録
肺癌の患者は、新型コロナウイルスに感染しやすく、重症化のリスクも高いと報告されてきた。本報告では、当院でのCOVID-19の院内アウトブレイクの際に感染した肺癌・悪性胸膜中皮腫の患者において、COVID-19が治療経過や予後に与えた影響について検討した。対象となったのは22人で、このうち積極的治療を行っていた患者が13人、Best Supportive Care (BSC) の対象となっていた患者が9人であった。感染前の全身状態(Performance Status)は、BSC群で低い傾向がみられた。治療群では、13人中11人が治療を再開でき、感染に伴う原疾患の治療の遷延はあったものの、悪性腫瘍の治療経過、予後への影響は比較的小さかった。一方BSC群では、全身状態が感染後にさらに悪化する傾向が示唆され、COVID-19が患者の転帰に与えた影響は大きかった。感染前の全身状態が、悪性腫瘍の患者の予後と関連する可能性があり、特にもともと状態が不良な患者においては、COVID-19に十分注意していく必要がある。