Dental Materials Journal
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歯科用接着性モノマー(4-methacryloyloxyethoxycarbonylphthalic Anhydride, 4-META)の溶血性とNMR, DSCによる4-META/りん脂質リポソームの相互作用
藤沢 盛一郎門麿 義則菰田 泰夫
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1991 年 10 巻 1 号 p. 18-26,97

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抄録

生体膜と歯科用接着性モノマーの相互作用のメカニズムを分子レベルで明らかにするため,4-META及びその関連化合物(4-methacryloyloxyethoxycarbonyl-phthalic Acid 4-MET,フタール酸,無水フタール酸)とジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)リポソームとの相互作用をNMR及びDSCを用いて研究した。pH 7.4で,4-META,及び無水フタール酸により誘起されたDPPCリポソームのNMRケミカルシフトと相転移温度の変化は,フタール酸のそれより大きかった。DPPC/4-METAリポソーム系のNMRスペクトルはDPPC/4-METリポソーム系と類似した。これは4-METAが加水分解し4-METになった為と推察された。
さらに,4-META及びその関連化合物のヒト赤血球に及ぼす影響を検討した。4-META,及び無水フタール酸は4-MET及びフタール酸に比べて高い溶血性を示した。このことは,イオン化する化合物は生体膜に透入できないことを示した。

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