Dental Materials Journal
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10 巻, 1 号
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  • 村上 芳弘, 塚田 典功, 和田 守康, 山崎 宗与, 早川 徹, 遠藤 浩, 堀江 港三
    1991 年10 巻1 号 p. 1-7,97
    発行日: 1991/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    本研究では,歯髄側象牙質をMTYA・G・Hで処理したときの接着強さを,唇側象牙質と比較しながら調べた。
    新鮮牛抜去歯の唇側,あるいは歯髄側象牙質表面を被着体として用い,40%リン酸,10%クエン酸,または0.5MのEDTA水溶液でエッチングし,37°C水中に1日浸漬後の引張接着強さを測定した。
    各エッチング剤間で,唇側象牙質と歯髄側象牙質とに対する接着強さを比較したところ,有意な差はみられなかった。また,歯髄側象牙質をEDTAエッチングした場合に,平均値で約12MPaと最も高い値が得られた。
    以上の結果より,深部象牙質に対して,MTYA・G・H処理を施すと良好な接着強さが得られることが判明した。
  • 原嶋 郁郎, 野俣 尚, 平澤 忠
    1991 年10 巻1 号 p. 8-17,97
    発行日: 1991/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    デュアルキュアー型コンポジットレジンセメントの硬化反応率をフーリエ変換赤外吸収分光法で測定した。デュアルキュアー型レジンセメントの反応率は,レドックス反応による常温硬化では59.3∼75.0%,光硬化では66.6∼81.4%を示した。光硬化時の反応率は,セメントと照射器照射口の間に介在するコンポジットレジンインレー体の厚さが増加するにつれて減少した。また,光硬化時の低反応率は,経時的に十分には向上しなかった。したがって,デュアルキュアー型のレジンセメントを光硬化させる場合,充填用光重合型コンポジットレジンの場合と同様十分光照射しなければならない。反応率を向上させ,均一化するためには,低反応率になったと思われる部位に照射口を近づけて再照射する方法が非常に有効であった。
  • 藤沢 盛一郎, 門麿 義則, 菰田 泰夫
    1991 年10 巻1 号 p. 18-26,97
    発行日: 1991/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    生体膜と歯科用接着性モノマーの相互作用のメカニズムを分子レベルで明らかにするため,4-META及びその関連化合物(4-methacryloyloxyethoxycarbonyl-phthalic Acid 4-MET,フタール酸,無水フタール酸)とジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)リポソームとの相互作用をNMR及びDSCを用いて研究した。pH 7.4で,4-META,及び無水フタール酸により誘起されたDPPCリポソームのNMRケミカルシフトと相転移温度の変化は,フタール酸のそれより大きかった。DPPC/4-METAリポソーム系のNMRスペクトルはDPPC/4-METリポソーム系と類似した。これは4-METAが加水分解し4-METになった為と推察された。
    さらに,4-META及びその関連化合物のヒト赤血球に及ぼす影響を検討した。4-META,及び無水フタール酸は4-MET及びフタール酸に比べて高い溶血性を示した。このことは,イオン化する化合物は生体膜に透入できないことを示した。
  • 福井 壽男, 長谷川 二郎, 市田 邦二, 大河内 禎一
    1991 年10 巻1 号 p. 27-37,98
    発行日: 1991/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    歯科用合金の機械的性質は引張試験や硬さなどの静的試験法によって決定されており,疲労特性としての耐久限度は測定されていない。歯科用合金の疲労破壊は耐力より低い応力を繰り返し負荷させると起こることが知られている。
    本研究の目的はType III加工用金合金5種の疲労特性を測定することである。4点曲げ疲労試験像により30Hzの条件で負荷応力と破断までの回数との関係を調べると共に,疲労試験後の破面を走査電顕で観察した。その結果,比較的高い引張強さと耐力をもち,伸びの小さい合金の疲労強度が大きく,伸びの大きい合金の疲労強度は小さかった。疲労強度の大きい合金は疲労亀裂の発生初期よりStage IIのストライエーションが観察され,疲労強度の小さい合金は亀裂発生初期にはStage Iといわれるペンシルグライドが観察された。
    このように合金により疲労亀裂の進展過程が異なることから,静的試験法と同様に動的試験による合金の性質を考慮することが必要不可欠であるといえる。
  • 伊賀 己記, 竹重 文雄, 宇井 崇, 鳥居 光男, 土谷 裕彦
    1991 年10 巻1 号 p. 38-45,98
    発行日: 1991/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 第1報:崩壊性と生体内での反応について
    木村 博, 徐 濶, 岡崎 正之
    1991 年10 巻1 号 p. 46-57,99
    発行日: 1991/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    非焼結炭酸アパタイトをコラーゲンで結合させることにより,アパタイト・コラーゲン複合体を作成し,溶液中での崩壊度と生体内での反応を検討した。10wt%または5wt%のコラーゲンを含有する2種類のペレット試料を4時間UV線照射により不溶化した。これらの試験片を0.9wt%のNaCl溶液(37°C)に一定期間浸漬したところ,UV照射した実験片では1週間後の重量減少は少なく,形態も保持されていたが,UV照射しない試料では経時的に重量が減少し,崩壊も大きかった。溶解した後の溶液中の全Ca濃度を原子吸光分析したところ,同様の傾向が得られた。また,10wt%コラーゲン複合体は5wt%コラーゲン試料より崩壊度が低かった。Sprague-Dawley系雄性ラットを用い,4時間UV照射した10wt%コラーゲン複合体をラット下顎縁の骨欠損部に埋入し,光顕的観察を行った。1週後アパタイトの周囲には,骨牙細胞と線維牙細胞及びコラーゲン線維の残留物などが存在した。2週後では,成長した骨細胞によって不連続的に包囲され,周囲空間はコラーゲン線維ないし骨牙細胞で満たされ,ハーバシアン腔も出現した。4週後では,アパタイトが正常骨細胞によつて連続的に包囲され,ハーバシアン腔も多かった。8週,12週後では成熟した骨細胞だけで満たされていた。
  • 渡部 徹, 横山 美弥子, 伊藤 和雄, 和久本 貞雄, 立川 哲彦
    1991 年10 巻1 号 p. 58-64,99
    発行日: 1991/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    本研究では,35% glyceryl methacrylate水溶液の臨床応用の可能性を検討するために,その歯髄為害性を,犬の歯牙を用いて病理組織学的に検討した。その結果,修復後短期間には,象牙芽細胞層に軽度の炎症反応が認められたものの,重篤な退行性変化,および歯髄内に炎症性細胞の浸潤は見られず,8週後には修復象牙質の形成が見られた。これらのことから,glyceryl methacrylate水溶液の歯髄に対する影響は究めて少なく,dentin primerとして臨床応用が可能であると結論された。
  • 田中 伸征, 新谷 英章, 平 雅之, 若狭 邦男, 山木 昌雄
    1991 年10 巻1 号 p. 65-71,99
    発行日: 1991/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    快削性セラミックスの表面研磨能力に検討を加える目的で,2種類の快削性セラミックス(マイカ結晶含有ガラスセラミックスと窒化ホウ素結晶含有窒化アルミニウムセラミックス)と1つの対照(アパタイト結晶含有ガラスセラミックス)を用いて,注水下で研磨紙による機械研磨を行ない表面アラサを測定した。その結果,快削性セラミックスの表面研磨能力には限界のあることが明らかとなった。一方,diamond pointとair-turbinを用いて切削実験を行ない電顕観察を行なった所,快削性セラミックスの被削面は極めて滑沢で,欠けや割れがほとんど認められなかった。以上のことから,快削性セラミックスの母相中に分散しているへき開性結晶は,切削時には優れた快削性を付与するものの,研磨時には表面を粗〓化させることが示唆された。今後,快削性セラミックスを歯冠修復用材料として利用するためには,微細構造を変化させ表面研磨能力を向上させることが強く望まれた。
  • 勝野 和之, 真鍋 厚史, 中山 貞男, 立川 哲彦, 伊藤 和雄, 和久本 貞雄
    1991 年10 巻1 号 p. 72-78,100
    発行日: 1991/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    今回,筆者らは象牙質に対する高い接着改善効果を有する2種のdentin primer 35% hydroxyethyl methacrylateおよび35% glyceryl methacrylate水溶液を用い,前報よりさらに適用期間を延長してラット皮膚に対する組織為害性を観察した。
    その結果,21日目,55日目の肉眼的所見では両者のプライマー群ともに著明な炎症性変化,すなわち発赤,腫張などの変化は認められなかったものの,プライマーの長期繰り返し塗布によるものと思われる,表皮の角化充進とそれに伴う着色性変化が認められた。
    病理組織所見では,両期間共に35% HEMA水溶液に依る若干の過角化のみが認められた。これに対し35% GM水溶液では,期間が増加することにより若干の過角化が進み,わずかな脂腺細胞の肥大も認められた。しかしながらこれらの変化はすべて可逆的であり,回復後に塗布を再開しても,免疫学的アレルギー反応のような変化は認められなかった。
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