抄録
本研究では,35% glyceryl methacrylate水溶液の臨床応用の可能性を検討するために,その歯髄為害性を,犬の歯牙を用いて病理組織学的に検討した。その結果,修復後短期間には,象牙芽細胞層に軽度の炎症反応が認められたものの,重篤な退行性変化,および歯髄内に炎症性細胞の浸潤は見られず,8週後には修復象牙質の形成が見られた。これらのことから,glyceryl methacrylate水溶液の歯髄に対する影響は究めて少なく,dentin primerとして臨床応用が可能であると結論された。