抄録
快削性セラミックスの表面研磨能力に検討を加える目的で,2種類の快削性セラミックス(マイカ結晶含有ガラスセラミックスと窒化ホウ素結晶含有窒化アルミニウムセラミックス)と1つの対照(アパタイト結晶含有ガラスセラミックス)を用いて,注水下で研磨紙による機械研磨を行ない表面アラサを測定した。その結果,快削性セラミックスの表面研磨能力には限界のあることが明らかとなった。一方,diamond pointとair-turbinを用いて切削実験を行ない電顕観察を行なった所,快削性セラミックスの被削面は極めて滑沢で,欠けや割れがほとんど認められなかった。以上のことから,快削性セラミックスの母相中に分散しているへき開性結晶は,切削時には優れた快削性を付与するものの,研磨時には表面を粗〓化させることが示唆された。今後,快削性セラミックスを歯冠修復用材料として利用するためには,微細構造を変化させ表面研磨能力を向上させることが強く望まれた。