抄録
流れ可視化の一方法である標識元素溶解法を用いて,メッシュパターン内のチタン溶湯の流れを検討した。その結果,差圧鋳造の場合,鋳造体のほとんどの部位で,多くの凝固層の積み重なりが観察され,これは層流であって,しかも流れが定常状態に近いことを示していた。遠心鋳造の場合は,流れに殆ど規則性がなく,凝固層の重なりも僅かな部分でしか認められず,乱流であることが分かった。また,メッシュパターンのような複雑な空洞では,鋳造力として,遠心力よりも圧力の方が有効に作用していることが推定される。そのため,層流として流れ,しかも高い圧力の時に鋳造性が良くなることが結論された。