Dental Materials Journal
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10 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 尾崎 守, 鈴木 正子, 伊藤 和雄, 和久本 貞雄
    1991 年 10 巻 2 号 p. 105-120,231
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    牛歯エナメル質,及び合成ハイドロキシアパタイト(HAP)と,MMA溶媒中での機能性モノマー4-METとの間の化学結合の可能性を,ラマンスペクトル測定により検討した。その結果,HAP中のカルシウムと4-METモノマーとの間で塩が形成されたことを示すバンドが1,380cm-1付近に認められた。しかし,1つの4-MET分子において,そのカルボキシル基がハイドロキシアパタイト表面のカルシウムと塩を形成し,かつ,そのメタクリル基がMMAとの重合反応に参与することは困難であることが示唆された。
  • 藤沢 盛一郎, 門磨 義則, 菰田 泰夫
    1991 年 10 巻 2 号 p. 121-127,231
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Bis-GMA及びその関連メタクリレートの溶血メカニズムを明らかにするため,5種類のメタクリレート(Bis-GMA, MMA, NPGDMA, TEGDMA及びUDMA)とDPPC/CSリポソームとの相互作用を1H-NMRスペクトロスコピーにより研究した。Bis-GMAはリポソームに分配されると,そのシグナルは観測されなかった。NPGDMAのプロトンシグナルは著しくブロードになった。UDMAはシャープなシグナルが高磁場ヘケミカルシフトした。MMAとTEGDMAはリポソームと相互作用してもフリーのものとの差は認められなかった。使用した他の全てのメタクリレートに比較して,Bis-GMAはDPPC/CSリポソームに透入し易く,その運動が膜中で制限されることが明らかになった。すでに報告されたBis-GMAの強い溶血作用はこの化合物が赤血球膜中のコレステロールを含むりん脂質二重層への透入により引き起こされると考えられた。
  • 渡辺 孝一, 大川 成剛, 宮川 修, 中野 周二, 塩川 延洋, 小林 正義
    1991 年 10 巻 2 号 p. 128-137,231
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    流れ可視化の一方法である標識元素溶解法を用いて,メッシュパターン内のチタン溶湯の流れを検討した。その結果,差圧鋳造の場合,鋳造体のほとんどの部位で,多くの凝固層の積み重なりが観察され,これは層流であって,しかも流れが定常状態に近いことを示していた。遠心鋳造の場合は,流れに殆ど規則性がなく,凝固層の重なりも僅かな部分でしか認められず,乱流であることが分かった。また,メッシュパターンのような複雑な空洞では,鋳造力として,遠心力よりも圧力の方が有効に作用していることが推定される。そのため,層流として流れ,しかも高い圧力の時に鋳造性が良くなることが結論された。
  • 南部 敏之, 渡邊 忠二, 谷 嘉明
    1991 年 10 巻 2 号 p. 138-148,232
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    今日歯科用コンポジットレジンはこの審美的利点を生かし,従来のアマルガムやインレーに替り得る臼歯修復用材料として臨床で使用される機会が増えてきている。こうした材料の耐久性の評価のひとつとして,圧縮あるいは曲げ応力に対する抗折試験がしばしば行なわれ,すでに歯科用材料に関するISOやJISなど規格の一項目として承認されている。しかしながら,これらの規格試験を含めて,強度測定は室温大気中で行なわれる場合がほとんどで,より高温かつ多湿という口腔内環境とコンポジットレジンの吸水性を考慮すると,得られた結果が実際に修復物として適用された材料の力学的挙動を再現し得るか否かは疑問である。こうした前提に基づいて,15種類の市販の臼歯用コンポジットレジンについて,37°C水中における曲げ強度を測定し,従来の室温大気中での測定値と比較したところ,いわゆるハイブリッドタイプに分類されるものを含めて両測定値の間に著しい差異を示すものがあり,脆性材料に対する水分の影響が推測された。
  • Choltacha HARNIRATTISAI, 細田 裕康
    1991 年 10 巻 2 号 p. 149-164,232
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    本研究は象牙質窩洞における5種の象牙質接着システムの歯髄刺激性ならびに細菌侵入の比較検討を目的として計画された。まず,サルの歯牙224本に5級窩洞を形成し,さらに窩縁周囲のエナメル質を除去して,象牙質窩洞を作製した。次に,これらの窩洞に各種象牙質接着システムを用いて,コンポジットレジンを充填した。実検期間は3, 30, 90日とし,各期間経過後,サルを薬殺し,病理組織標本を作製,評価を行なった。象牙質接着材を用いたすべての群において初期に様々な程度の象牙芽細胞層の変化が認められ,軽度ないしは中等度の炎症性変化が観察された。細菌侵入例以外において炎症性変化の程度は経時的に減少した。SAプライマー/フォトボンドを用いた例においては陰性対照のグラスアイノマーセメントと同程度であった。よって,本研究において,特に象牙質窩洞では,レジンと窩壁象牙質の良好な接着と適合が歯髄刺激の減少に寄与することが示唆された。
  • 早川 徹, 堀江 港三
    1991 年 10 巻 2 号 p. 165-171,232
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    7種類のアミドモノマーを合成し,それぞれHEMAに溶解してボンディング剤として使用した。エナメル質はリン酸エッチングを施し,象牙質はクエン酸エッチング後にMTYA・G・Hプライマーで処理をして被着体とし,37°C水中に1日浸漬後の引張り接着強さを測定した。HEMA単独から成るボンディング剤をコントロールとして用いた。
    エナメル質に対しては,o-MBBA (o-メタクリロキシブトキシベンズアミド),及び3, 5-DMBA (3, 5-ジメタクリロキシベンズアミド)を用いた場合に,HEMAよりも有意に高い値が得られた。一方,象牙質に対しては,MTYA(メタクリロイルチロシンアミド),p-MBBA (p-メタクリロキシブトキシベンズアミド)から成るボンディング剤がHEMAよりも高い接着強さを与えた。
  • 奥野 攻, 石川 晋, 飯室 隆子フロレンチーナ, 木内 陽介, 山田 宏秀, 中野 毅, 浜中 人士, 石幡 伸雄, 水谷 紘, 藍 稔
    1991 年 10 巻 2 号 p. 172-184,233
    発行日: 1991/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    優れた希土類磁石を歯科の義歯など歯科補綴物の維持装置として応用する試みが多くなされるようになった。しかし希土類磁石の耐食性が劣ることや,維持力がそのままではやや劣ることが問題となり,多くの対策が考えられたが十分有効な解決には至らなかった。そこで,カップ型のヨークにSm-Co磁石を入れ.閉磁路することで吸引力を高め,さらにディスク型のヨークで蓋をし,境界部をレーザー溶接することで磁石を完全に密封した磁性アタッチメントを考え設計試作した。Sm-Co磁石としてSmCo5を,ヨークには耐食性に優れた磁性ステンレス鋼447J1を用いた。有限要素法で各部の最適寸法を計算し,これに基づき磁性アタッチメントの試作を行った。試作された磁性アタッチメントは外径4.4mm,高さ2.1mm円盤状で,味引力は平均341gで設計値を良く満足した。
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