Dental Materials Journal
Online ISSN : 1881-1361
Print ISSN : 0287-4547
ISSN-L : 0287-4547
臼歯用コンポジットレジンの曲げ強度に対する水分の影響について
南部 敏之渡邊 忠二谷 嘉明
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 10 巻 2 号 p. 138-148,232

詳細
抄録

今日歯科用コンポジットレジンはこの審美的利点を生かし,従来のアマルガムやインレーに替り得る臼歯修復用材料として臨床で使用される機会が増えてきている。こうした材料の耐久性の評価のひとつとして,圧縮あるいは曲げ応力に対する抗折試験がしばしば行なわれ,すでに歯科用材料に関するISOやJISなど規格の一項目として承認されている。しかしながら,これらの規格試験を含めて,強度測定は室温大気中で行なわれる場合がほとんどで,より高温かつ多湿という口腔内環境とコンポジットレジンの吸水性を考慮すると,得られた結果が実際に修復物として適用された材料の力学的挙動を再現し得るか否かは疑問である。こうした前提に基づいて,15種類の市販の臼歯用コンポジットレジンについて,37°C水中における曲げ強度を測定し,従来の室温大気中での測定値と比較したところ,いわゆるハイブリッドタイプに分類されるものを含めて両測定値の間に著しい差異を示すものがあり,脆性材料に対する水分の影響が推測された。

著者関連情報
© 日本歯科理工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top