抄録
象牙質の接着に不可欠な試作デンチンプライマーであるGM, HEMA, EM,を用いてモルモットに対する免疫学的アレルギー反応を検討した。その結果,即時型アレルギー反応はいずれのプライマーおよびこれらの基本的化学構造物であるメタクリル酸においても観察されなかった。また,デンチンプライマーとメタクリル酸を用いモルモットの背部皮膚に長期間の反復塗布を行った。メタクリル酸では,塗布開始後18日で強い発赤,浮腫が認められた。GM, HEMA, EMでは,軽度の発赤を認めた。炎症が完全に消失した25日後からの再塗布試験においては7日間で18日後と同様の炎症が認められた。このことからメタクリル酸,GM, HEMA, EMの遅延型アレルギー発現の可能性が示唆された。皮内投与による局所刺激では,塗布試験より過酷な条件であることから,2時間後には水泡,7日後で痂皮を形成した。今回の実験結果により,試作デンチンプライマーの遅延型アレルギー反応(接触性皮膚炎)発現の可能性が示唆された。