抄録
コンポジットレジン硬化体から切り出した薄切片の微小部位におけるIRスペクトルを顕微赤外測定装置を組み込んだFTIRを用いて測定し,未反応二重結合量(UDB)を求めた.さらにこの薄切片から残留モノマーを溶出させた後の同一部位でのIRスペクトルをも測定し,ペンダント二重結合量(PDB)を求めた.また,この両二重結合量の差から溶出した二重結合量(EDB)を求め,残留モノマー量を推定した.
UDB, PDB, EDBともに深さ方向に対して著しく変化した.PDBは光照射時間にかかわらず,得られた硬化深さの7∼8割の深さまで,一定の値を示した.この部分におけるコンポジットはより密に架橋されていると推察される.モノマー組成によって異なるが,光重合された硬化体内には25∼40%の二重結合がペンダント二重結合として存在することが示唆された.