抄録
フィラー含有量の異なるコンポジットレジンを作製し,その圧縮クリープと回復について水中浸漬下で研究した.500時間後のコンポジットレジンのクリープひずみはコンポジットレジン中のフィラー含有量の増加にともない直線的に減少した.
試験期間中のコンポジットレジンの吸水量は一般には圧縮応力の増加に従い減少するが,フィラー量の多いコンポジットレジンではある応力範囲ではほとんど吸水量が一定となった.
コンポジットレジンのクリープ試験後の回復現象は試験直後に著しく大きかった.この期間における吸水量の測定結果から,クリープ試験中にマトリクスとフィラー界面ないしはマトリクス中にミクロクラックが発生し,試験後に応力が取り除かれるとその間隙に水分が浸透する.このため回復期にコンポジットレジンの吸水量が増加するものと思われた.