抄録
コンポジットレジンの口腔内磨耗に及ぼすフィラー組成の影響を明らかにするために,SEMおよびERAを用いて検討を行った.平均粒径2.6μmの3種類のフィラー,すなわち,石英,ストロンチウムガラス,バリウムガラスをそれぞれ含有(80 wt%)し,共通のレジンモノマーとしてBis-GMA (40 wt%), UTMA (20 wt%),TEGDMA (40 wt%)からなる光重合型試作レジンを実験に用いた.従来より当教室において行ってきた仮着クラウンを応用した観察法により,試作レジンの口腔内磨耗像をSEMにより連続的に観察した.また2ヵ月経過後の試片については,ERAにより磨耗像の分析を行った.その結果,特に咬合接触部において,フィラー組成の違いにより特徴的な磨耗像を示すことが明らかになった.