Dental Materials Journal
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ボンディング材へのフィラーの混入が,象牙質接着性に及ぼす影響について
谷 千尋伊藤 和雄久光 久和久本 貞雄
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1994 年 13 巻 2 号 p. 131-137,269

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抄録
マイクロフィラーを混入した4-META MMA/TBB系デンチンボンディング材を試作し,その象牙質接着性能をヒト抜去歯象牙質内に形成した円柱窩洞に填塞された市販可視光線重合型コンポジットレジンの象牙質窩壁適合性と象牙質平面に対する引張り接着性試験により検討した.その結果,フィラーを混入していないデンチンボンディング材を用いた場合には,完全な象牙質窩壁適合性が得られたが,フィラーを混入した場合には,すべての試片で完全な象牙質窩壁適合性が観測されるとは限らなかった.しかしながら,引張り接着力試験では,フィラーの混入によって有意に計測値は上昇した.すなわち,デンチンボンディング材にフィラーを配合することにより象牙質接着強さは向上するものの,象牙質窩壁とコンポジットレジンとの間に形成されるコントラクションギャップを,完全には抑制することは出来なくなり,コンポジットレジン修復用デンチンボンディング材にフィラーを配合する有効性は否定された.
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