Dental Materials Journal
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13 巻, 2 号
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  • 谷 千尋, 伊藤 和雄, 久光 久, 和久本 貞雄
    1994 年13 巻2 号 p. 131-137,269
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    マイクロフィラーを混入した4-META MMA/TBB系デンチンボンディング材を試作し,その象牙質接着性能をヒト抜去歯象牙質内に形成した円柱窩洞に填塞された市販可視光線重合型コンポジットレジンの象牙質窩壁適合性と象牙質平面に対する引張り接着性試験により検討した.その結果,フィラーを混入していないデンチンボンディング材を用いた場合には,完全な象牙質窩壁適合性が得られたが,フィラーを混入した場合には,すべての試片で完全な象牙質窩壁適合性が観測されるとは限らなかった.しかしながら,引張り接着力試験では,フィラーの混入によって有意に計測値は上昇した.すなわち,デンチンボンディング材にフィラーを配合することにより象牙質接着強さは向上するものの,象牙質窩壁とコンポジットレジンとの間に形成されるコントラクションギャップを,完全には抑制することは出来なくなり,コンポジットレジン修復用デンチンボンディング材にフィラーを配合する有効性は否定された.
  • 今 政幸, 河野 文昭, 浅岡 憲三, 松本 直之
    1994 年13 巻2 号 p. 138-147,269
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    熱膨張係数の大きいリューサイト結晶を含有する陶材の強さに及ぼすリューサイト結晶の挙動について検討することを目的とした.このため,熱膨張係数,組成および軟化温度の異なる3種のガラスマトリックスを使用してリューサイト結晶粒子を分散したガラス質陶材を作製した.その結果,リューサイトを含有する陶材の強さはガラスマトリックスの組成,熱膨張係数および軟化温度の違いに影響されることがわかった.特に膨張係数のミスマッチの大きいホウケイ酸ガラスをマトリックスに用いた場合はリューサイト含有量の増加につれて強さは低下した.また長石質ガラスの場合は強さに殆ど変化がみられなかった.しかし,ソーダ石灰ガラスを使用した場合はリューサイトを添加することによりガラス単独のものに比較して,強化されることがわかった.強さが向上した原因はリューサイト粒子がガラス相へ溶け込むことにより,リューサイト粒子とガラス相の界面が連続相となるためであると考えられた.
  • 仮封材がレジンセメントの歯質接着性に与える影響
    寺田 林太郎, 中島 薫, 小原 雅彦, 久保田 稔
    1994 年13 巻2 号 p. 148-154,270
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    この研究は,仮封処置がレジンセメントの歯質接着性に与える影響を検討したものである.5種の仮封材と5種のレジンセメントを実験に用いた.600本の牛歯を被験歯として使用した.仮封処置がレジンセメントの歯質接着性に与える影響は,仮封材により異なっていた.ユージノール系,非ユージノール系のいずれの仮封材も,レジンセメントの歯質接着性を減少させていた.いずれの仮封材を使用しても,エナメル質および象牙質において4-META系レジンセメントが安定した歯質接着性を示していた.
  • 平 曜輔, 今井 庸二
    1994 年13 巻2 号 p. 155-163,270
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    TBB系レジンセメントの接着耐久性改善の試みとして,エナメル質とステンレス鋼の接着におよぼす銅塩含有プライマーの効果を検討した.牛歯エナメル質を10%リン酸でエッチング後,銅塩を含むアセトンプライマーで処理し,TBB系レジンで接着した.水中での熱サイクル試験を行った後,引張り接着強さを測定した.市販のコンポジット型レジンセメントとも比較した.銅塩の塗布はMMA-TBBレジンによる接着強さの耐久性を全般的に向上させたが,2-メタクリロイルオキシエチルコハク酸銅を含むプライマーを用いて,4-META/MMA-TBBレジンで接着した場合に最もよい耐久性が得られ,市販品よりもすぐれていた.熱サイクル2,000回後でも接着強さの平均値21MPa,最低値約12MPaが維持されていた.
  • 塙 隆夫, 今 政幸, 大川 昭治, 浅岡 憲三
    1994 年13 巻2 号 p. 164-173,270
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    3種類の市販チタン用焼付陶材中の元素が加熱中に酸化チタンへどのように拡散するかを調べた.円板状に形成し焼成した陶材上にチタンを2種類の厚さに真空蒸着し,大気中で加熱した.蒸着膜厚は,表面アラサ計およびエリプソメーターによって測定した.加熱によってチタンは酸化し,薄い酸化チタンが陶材を覆った.この表面およびチタンを蒸着していない陶材の表面をX線光電子分光で解析した.その結果,チタン用焼付陶材はホウ酸の量が従来型よりも多かった.これは,チタンに合わせて熱膨張係数を小さくするためと考えられる.加熱後の酸化チタン中のチタンは3価と4価の間の価数であり,ナトリウム,カリウム,バリウムのみが加熱中に酸化チタンに拡散した.これらの元素は酸化チタン中に混合しているのではなく,チタンと複合酸化物を形成していた.これらの元素の拡散は陶材とチタンとの結合に関係していると考えられる.
  • 谷 嘉明, 都賀谷 紀宏, 石川 明子, 渡辺 有子, 丸山 慶四郎, 勝山 茂
    1994 年13 巻2 号 p. 174-181,271
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    臼歯咬合面に修復されたコンポジットレジンの臨床予後を決定づける重要な物性は耐摩耗性である.筆者らはさきに,Bowenによって提案されたβ-Qurtz Glass-Ceramic (Megafiller)の粗粒をコンポジットレジン中に挿入する新しい臨床技法が,修復物の重合収縮率を効果的に減少させることを報告した.今回,6種の光重合型コンポジットレジンを用いて,Megafiller填入の有無が耐摩耗性に与える効果を検討した.摩耗試験は,筆者らが考案したグラスビーズ摩耗試験および通常のハブラシ摩耗試験の2種類の方法で評価した.摩耗深さは,精度μmの万能投影機を用いて摩耗試験前後の厚さを計測して求めた.実験の結果,Megafillerの填入によって,概ね数値的には摩耗深さは小さくなる傾向が認められたが,1, 2の材料を除いて統計的有意差はみられなかった.また,コンポジットレジンのMegafillerへの“ぬれ性”はコンポジットレジンの種類によって僅かに差異が認められた.
  • 石川 邦夫, Edward D. EANES, 浅岡 憲三
    1994 年13 巻2 号 p. 182-189,271
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    カルシウムイオン(Ca2+)がアパタイト(HAP)生成に及ぼす影響を検討した.Ca2+が存在しない条件を含む種々のCa2+濃度(0-200mM)において無水リン酸水素カルシウム(DCPA)の加水分解をpHスタットを用いて行った.加水分解速度は滴定速度から,また得られたHAP結晶の結晶性を粉末X線回折法により測定した.Ca2+が存在する場合,その非存在下と比較して,加水分解速度が非常に促進され,またHAPの収率は約2倍になった.一方,加水分解速度,HAPの収率はCa2+濃度(25-200mM)には影響を受けなかった.溶液化学平衡計算によればCa2+が存在する場合,その非存在下に比較して非常に少量のDCPAが溶解すれば溶液がHAPと平衡になることが示された.従って我々はCa2+がDCPAのような酸性リン酸カルシウムの加水分解に重要な役割を果たすと結論した.
  • 今井 庸二, 斉藤 晶子
    1994 年13 巻2 号 p. 190-197,271
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    メチルメタクリレート(MMA)-トリブチルボラン(TBB)系レジンを用いた象牙質への接着において,HEMAプライマーへの各種銅塩の添加効果を検討した.ウシ象牙質表面を10%リン酸水溶液で処理した後,銅塩を含む35%HEMA水溶液プライマーを塗布し,MMA-TBBレジンでアクリル棒を接着した.銅塩の種類・濃度を変えて接着したところ,プライマー中の銅塩の最適濃度は0.5-3.0μmol/gであった.検討した8種類の銅塩の中で,硫酸,メタクリル酸,メタクリロイルオキシエチルフタル酸,メタクリロイルオキシエチルコハク酸の銅塩が特に有効であり,14.2-16.1MPaの平均接着強さおよび最低の接着強さの平均値として9.9-11.7MPaが得られた.これらの接着強さは,市販の4-META/MMA-TBBレジン接着システムで得られる値よりも大きかった.ある種の銅塩存在下で重合したポリMMAの分子量が増加したことから,いくつかの銅塩ではMMA-TBBレジンに対するその分子量増加効果によって接着強さが向上したことが示唆された.
  • 野本 理恵, 内田 馨子, 平澤 忠
    1994 年13 巻2 号 p. 198-205,272
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    照射距離を変化させて得られた種々の光強度で光重合コンポジットレジンを重合し,硬化深さを初め硬化体内部の反応率,重合率およびペンダント二重結合量の深さ方向に対する分布を測定し,これら重合特性に及ぼす光強度の影響を調べた.照射する照射量(光強度と照射時間の積)を一定にすると光強度,照射時間に関わらず硬化深さはほぼ一定の値を示し,硬化体内部の反応率,重合率およびペンダント二重結合量の各分布もよく一致した.硬化深さは照射量の対数で表され,この直線回帰式から使用した光照射器に対する材料の吸光係数および材料が硬化するのに必要な照射量(臨界照射量)を求めることができた.
  • 田島 清司, 松田 清次郎, 北島 聰幸, 横山 有紀, 柿川 宏, 小園 凱夫
    1994 年13 巻2 号 p. 206-213,272
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    溶解雰囲気と鋳型内のガス清浄化を目的としたダブルガスパージを特徴として開発されたチタン専用鋳造機を用い,ダブルパージの効果について検討することを目的に,溶解室雰囲気中ならびに純チタン鋳造体中の酸素濃度分析,鋳造体の硬さ試験および鋳造性試験を行った.ダブルパージを採用することで溶解雰囲気の極低酸素化が可能となり,純チタン鋳造体中の酸素量は他機種に比べて著しく低くなった.さらにチタン鋳造体表面の硬さもパージを採用することで減少した.しかし,鋳造性に対しては影響はみられなかった.以上の結果から,ダブルパージを採用して開発されたチタン鋳造機により酸素の混入を抑えたチタン鋳造体を作製できることが示された.
  • 平野 進, 平澤 忠
    1994 年13 巻2 号 p. 214-219,273
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    市販の臼歯部用コンポジットレジンと前歯部用コンポジットレジン各々2種類について,その圧縮クリープと回復について水中浸漬下で研究した.
    試験した臼歯部用コンポジットレジンの500時間後のクリープひずみは8.3kgf/mm2の応力下では1%未満であった.この結果,これら臼歯部用コンポジットは咬合応力に十分耐え得ることを示していた.前歯部用コンポジットレジンではフィラー含有量が臼歯部用に比べて少ないため,臼歯部用にくらべてクリープひずみが大きかった.コンポジットの回復は試験直後に著しく大きかった.500時間後のクリープ試験後の試料の吸水率は,臼歯部用コンポジットレジンでは,ある低応力下ではほぼ一定であった.
  • Suchit POOLTHONG, Toshiko MORI, Michael V. SWAIN
    1994 年13 巻2 号 p. 220-227,273
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    三種のグラスアイオノマーセメントを選んで機械的性質を測定し,各セメントの特性を検討することにより,今後の材料開発の参考とした.三種のセメントのうち一種は,ガラス繊維を含有した自硬性の試作材料で,他の二種は市販の自硬性および光照射型セメントであった.バイアキシャルまたは通法の三点曲げ試験をおこない,後者からは弾性係数も求めた.37°C,相対湿度100%で24時間保存した試料を,室温で試験した.市販のセメントが典型的な脆性破壊挙動を示したのに比し,繊維を含有した試作材料では,破壊過程を著しく遅延する効果が認められ,これはワイブル係数が大きくなること,すなわちより安定した破壊挙動につながった.市販のセメントで得られた特性は,象牙質に近似した弾性率と歯科用複合レジンに匹敵する強度であった.
  • 遠藤 一彦, Rohit SACHDEVA, 荒木 吉馬, 大野 弘機
    1994 年13 巻2 号 p. 228-239,273
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    アークイオンプレーティング法によりインプラント用Ni-50Ti合金上に創成した窒化チタン薄膜の構造と耐食性を調べた.X線光電子分析装置を用いた角度分析により,創成された窒化チタン薄膜は三層構造となっており,最表層からTiO2, TiNx (x>1), TiNと化学状態が変化していることが明らかとなった.また,コーティング層からニッケルは検出されなかった.0.9% NaCl溶液中におけるアノード分極曲線を測定したところ,窒化チタンでコーティングしたNi-50Ti合金の不動態保持電流は自然浸漬電位から+500mV (vs. Ag/AgCl)までは研磨状態の合金と比較しておよそ1/100となり,耐食性が向上することが明らかとなった.しかし,脱不動態化電位が研磨状態の+1200mVから+500mVに低下し,孔食感受性が高くなった.分極抵抗の測定から,自然浸潰状態(+50∼+100mV)での腐食速度は,窒化チタンでコーティングすることにより1/10以下となることが分かった.最表層はTiO2皮膜となっており,純チタンの表面皮膜と化学組成が同じであること,自然浸漬状態での耐食性が改善され,ニッケルの溶出量が減少すると予想されることから,生体内で+500mV以上に分極されることがなければ,Ni-50Ti合金に対する窒化チタンコーティングは効果があるものと考えられる.
  • 第1報 クラウンの表面性状と適合性
    村上 繁樹, 小園 凱夫, 浅尾 武, 横山 有紀, 世良 優裕, 呂 毓修, 内田 康也
    1994 年13 巻2 号 p. 240-250,274
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    鋳造の短時間化を目的として,急速加熱型せっこう系埋没材が開発された.この埋没材で作製した鋳型は,埋没材の練和開始から30分後に700°Cの炉内に入れ,30分加熱するだけで鋳造できるものである.本研究では3種類の市販品について,膨張特性ならびに耐熱性との関連から鋳造クラウンの表面性状および適合性を調べた.練和した埋没材でブロックを作製し,練和開始から30分後に700°Cの炉内で急速加熱すると,従来型のクリストバライト埋没材は炉内に入れて間もなく粉々に破壊してしまったが,急速加熱型埋没材ではまったく破壊は生じないか,生じても小さなものであった.この試験で小さなクラックが生じた埋没材においてのみ,クラウンのマージンにわずかなバリが生じることがあったが,全般的にバリの発生は少なかった.鋳造体の表面あれにも大きな影響はみられなかった.急速加熱した際の熱膨張量には用いた3種類の埋没材間でほとんど差は認められなかったが,練和開始から30分後の硬化膨張は著しく異なっており,従来の鋳造法の場合と同様に,クラウンの良好な適合性を得るには加熱開始前の硬化膨張値が大きな埋没材ほど有効であることがわかった.
  • 藤沢 盛一郎
    1994 年13 巻2 号 p. 251-255,274
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Bis-GMAはコンポジットレジンやそのボンデング剤のモノマーシステムに歯科では広く用いられている.Bis-GMAは精製されていないので,未反応原料や合成過程に生ずる種々の不純物が含まれている.本研究は市販Bis-GMAからHPLCによりBis-GMAおよびiso-Bis-GMAを分離分取した.さらに,DEPTやCOSYスペクトルにより両モノマーのプロトン及びカーボンの全シグナルの帰属を行ったものである.
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