抄録
コンポジットレジンにおけるバリウムガラスフィラーと水との反応性を,粒径と吸水量並びに機械的強さとの関係を調べて検討した.バリウムガラスと石英を粉砕し,それぞれ4種の異なった粒径の粉末を得た.これらをシラン処理し,光重合型のべースモノマーに65wt%になるように混和してコンポジットレジンペーストを調整した.バリウムガラスフィラーのものは,常に石英フィラーのものより吸水量が大きかった.また,バリウムガラスの粒径が小さくなるに従って吸水量が増加したが,石英フィラーのものは粒径に関係なく一定の吸水量であった.さらにバリウムガラスフィラーのものは粒径が小さくなるに従って,曲げ強さの減少率が石英フィラーのものよりも大きくなった.これらのことより,バリウムガラスの耐水性が低く,水によりバリウムガラスの表面は侵食され,生じたバリウムガラスとマトリックスレジンとの間隙に水が貯留することが推察された.