抄録
In vitroにおいて,1mol/Lリン酸塩溶液(pH 9)と1mol/Lカルシウム溶液(pH 6)によるエナメル質齲蝕部位の連続的処理は再石灰化に有効でないことが報告されている.再石灰化におけるイオンの拡散過程の解析から,カルシウム溶液をリン酸溶液よりもアルカリ性にした方が,Caイオンの齲蝕部位への拡散が促進されることがわかった.そこで,本研究では,アルカリ性のカルシウム溶液を用いて,in vitroにおける象牙質齲蝕部位の再石灰化を試みた所,以下の結果が得られた.
1) コントロール群においては,象牙質の表面に若干の再石灰化が観察された.
2) 実験群においては,表面から40μm以内において石灰化量が有意に増加した.(p<0.05)
3) 前報の結果と異なり,象牙質表面に厚い沈殿物はみられなかった.