Dental Materials Journal
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14 巻, 1 号
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  • Yuh-Shiou LU, Huey-Wen YANG
    1995 年14 巻1 号 p. 1-13,101
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    近年ポーセレンマージンへの光重合法の応用が開発された.本研究では,体収縮,密度,圧縮強さ,表面性状,気泡,歯型からの分離性ならびにマージン部の精度について,ポーセレン-光重合型レジン系と従来のポーセレン-水系の比較を行った.試作レジンマトリックスは,べースモノマーとしてBDMAあるいはEGDMA,光増感剤としてCQ,重合促進剤としてDEAEMAからなり,希釈剤としてTEGDMAを用いた.レジンマトリックス系ポーセレンは,従来型より体収縮が大きく,密度および圧縮強さが小さくなる傾向を示した.また,希釈剤を加えた場合と従来型では,希釈剤を含まない場合より滑沢な表面が得られ,気泡も少なかった.歯型からの分離性およびマージン部の精度には光増感剤の量が重要な影響を与えており,光増感剤が多いほど(1.0%)分離性がよくマージン部の適合性も良好であった.
  • 朴 珍薫, 今井 庸二
    1995 年14 巻1 号 p. 14-22,101
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    MMA-TBBレジンの接着においてエナメル質と象牙質を同時に処理できる処理剤の可能性について検討した.種々の濃度の銅塩及びリン酸からなる水溶液を調整し,MMA-TBBレジンを牛歯に接着する際の処理剤として使用した.歯質表面の形態的変化及び接着性を走査型電顕観察及び引張接着強度試験から処理剤の影響を検討した.リン酸及び銅塩の濃度は象牙質の接着強さに影響をおよぼした.3%の塩化第2銅を含む10%リン酸水溶液が象牙質の処理に最適と考えられ,リン酸のみの場合に比べて有意に接着強さが向上した.この処理剤はエナメル質にも有効であり,銅塩の添加は接着強さになんら影響をおよぼさなかった.したがってこの処理剤を用いることにより,エナメル質と象牙質を同時に有効に処理してMMA-TBBレジンを接着することができる.
  • 今里 聡, 樽味 寿, 小林 恭子, 平栗 英樹, 小田 晃三, 土谷 裕彦
    1995 年14 巻1 号 p. 23-30,101
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    光重合型コンポジットレジンの重合率と変色の関係を調べることを目的として,Bis-GMAとTEGDMAの配合量が異なる4種のコンポジットレジンを試作し,その重合率と変色量を加熱および非加熱の条件下で測定した.重合率はFTIRを用いて測定し,変色は60°Cの水中に1, 2, 3, 4週間浸漬後に測定を行った.非加熱のコンポジットレジンでは,TEGDMAの含有量が多くなるほど重合率は高くなり,また変色は少なくなった.試料を加熱した場合は,非加熱の場合よりも重合率は有意に高く,変色は有意に少なかった.本実験の結果より,光重合型コンポジットレジンにおいては,重合率が高いほど変色が少なく,この2つの要素には有意な相関が認められることが明らかとなった.
  • Laurence C. CHOW, 高木 章三
    1995 年14 巻1 号 p. 31-36,102
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    In vitroにおいて,1mol/Lリン酸塩溶液(pH 9)と1mol/Lカルシウム溶液(pH 6)によるエナメル質齲蝕部位の連続的処理は再石灰化に有効でないことが報告されている.再石灰化におけるイオンの拡散過程の解析から,カルシウム溶液をリン酸溶液よりもアルカリ性にした方が,Caイオンの齲蝕部位への拡散が促進されることがわかった.そこで,本研究では,アルカリ性のカルシウム溶液を用いて,in vitroにおける象牙質齲蝕部位の再石灰化を試みた所,以下の結果が得られた.
    1) コントロール群においては,象牙質の表面に若干の再石灰化が観察された.
    2) 実験群においては,表面から40μm以内において石灰化量が有意に増加した.(p<0.05)
    3) 前報の結果と異なり,象牙質表面に厚い沈殿物はみられなかった.
  • 樽味 寿, 鳥居 光男, 土谷 裕彦
    1995 年14 巻1 号 p. 37-44,102
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    コンポジットレジンにおけるバリウムガラスフィラーと水との反応性を,粒径と吸水量並びに機械的強さとの関係を調べて検討した.バリウムガラスと石英を粉砕し,それぞれ4種の異なった粒径の粉末を得た.これらをシラン処理し,光重合型のべースモノマーに65wt%になるように混和してコンポジットレジンペーストを調整した.バリウムガラスフィラーのものは,常に石英フィラーのものより吸水量が大きかった.また,バリウムガラスの粒径が小さくなるに従って吸水量が増加したが,石英フィラーのものは粒径に関係なく一定の吸水量であった.さらにバリウムガラスフィラーのものは粒径が小さくなるに従って,曲げ強さの減少率が石英フィラーのものよりも大きくなった.これらのことより,バリウムガラスの耐水性が低く,水によりバリウムガラスの表面は侵食され,生じたバリウムガラスとマトリックスレジンとの間隙に水が貯留することが推察された.
  • 藤川 謙次, 菅原 明喜, 村井 正大, 西山 實, 高木 章三, Laurence C. CHOW
    1995 年14 巻1 号 p. 45-57,103
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    自然発生に類似した歯周疾患を惹起させた3壁性歯槽骨欠損部に対してフラップ手術を行い,CPCあるいはAPを周囲歯槽骨頂縁部と同じ高さになるまで填入した.術後一定期間経過した後の組織学的変化を調べた結果,術後1ヵ月では,CPC, APともに隣接組織に炎症反応は認められなかった.術後3ヵ月目に一部新生骨の添加はみられたが,APの全周は密な線維性結合組織で覆われていた.一方,CPC填入部位は歯槽骨に接している付近あるいは歯冠側結合組織付近から部分的に新生骨に置換していた.術後6ヵ月目には,CPC填入部位はほとんど新生骨によって置換されていたが,APは3ヵ月目と同様の所見を示した.CPCを歯槽骨補填に応用した場合,術後3ヵ月目にはCPCの表層および歯槽骨欠損部の周囲骨面からの骨の形成が認められた.現在このような特性を示す材料が他にみられないことより,本材料が臨床における未解決の分野に応用し得る可能性があるものと判断された.
  • 谷 嘉明, 都賀谷 紀宏
    1995 年14 巻1 号 p. 58-69,103
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    従来から,象牙質面の処理には,その酸性度の高低,有機・無機に差はあるものの主として酸が用いられてきた.しかし,歯髄保護の観点から,処理液は酸でないほうが望ましい.そこで従来全く着目されていなかった無機物の水溶液による酸を用いない象牙質面処理を試みた.前処理剤として用いたのは,チオシアン酸カリウム(KSCN)(ロダンカリ)の水溶液で,ロダン化物水溶液のもつコラーゲンおよびその変成物(ゼラチン)の膨潤を促進するsalting in効果に着目し,smear layerが良好に除去されることをあきらかにした.また上記の溶液に架橋剤として三価の金属塩(塩化第2鉄,鉄ミョウバン,カリウムミョウバン)を添加した処理液を用いて処理した結果,処理面はsmear layerが良好に除去され,dentinal plugsは閉塞されている所見が観察された.さらに,低濃度のロダンカリ水溶液でもscrubbingすることによって良好に処理されることが分かった.
  • 入江 正郎, 中井 宏之
    1995 年14 巻1 号 p. 70-77,103
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    硬化方式の異なる3種の裏層材(デュアルキュアー型すなわち光硬化型グラスアイオノマー,光重合型すなわち光硬化型グラスアイオノマー類似物,化学重合型すなわち従来型グラスアイオノマー)の硬化初期の特性を把握するため,硬化直後から水中浸漬1週間後までの寸法,重量および曲げ強さの変化を測定した.3種の裏層材はそれぞれ異なった変化を示した.水中浸漬1週間までの寸法と重量変化とは3種共に有意な関係にあった.これは吸水膨張によると想像された.曲げ強さはそれぞれ異なり,硬化方式の違いを示す強さの経時的変化がみられた.この結果から,1日以上水中浸漬されることによる吸水膨張によって,裏層材の硬化時に生じる窩洞辺縁部との間隙を防止したり,硬化が進行することによる物性の安定化が期待された.
  • 有川 裕之, 桑畑 弘之, 関 英男, 蟹江 隆人, 藤井 孝一, 井上 勝一郎
    1995 年14 巻1 号 p. 78-83,104
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    γ-MPTMSによって表面処理した6種類のフィラーを用い,異なったフィラー形状,フィラー粒径,フィラー含有率をもつ16種類の光重合型コンポジットレジンを試作した.試料は0∼60日間蒸留水中に浸漬し,曲げ強さおよび曲げによる応力緩和率の測定を行った.曲げ強さは,すべての材料で水中浸漬期間が長くなるとともに減少し,60日後では浸漬前に比べて約10∼30%低下した.またフィラー含有率の高い材料(65vol%)は含有率の低い材料(40vol%)よりも大きな低下率を示した.応力緩和率についても曲げ強さの場合と同様の傾向を示し,浸漬期間が長くなるにつれて緩和率は増加した.さらにフィラー含有率の高い材料は,浸漬前の値に比べてより大きな緩和率の増加を示す傾向がみられた.こうした機械的性質の低下は,フィラー表面処理剤の加水分解による劣化が大きな影響を及ぼしているものと思われる.
  • 久恒 邦博, Alaa M. EL ARABY, 岩沼 健児, 田中 康弘, 有働 公一, 安田 克廣
    1995 年14 巻1 号 p. 84-87,104
    発行日: 1995/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    断熱型比熱測定装置により,硬質せっこう硬化体の脱水過程を検討した.一般には大気中において,二水塩から半水塩を経由して無水塩への二段階の脱水過程を示すことが知られている.しかし,混水比の小さいバルク試料の脱水は見かけ上,三段階で進行する.これは本質的なことでなく,ち密な硬化体が円滑な脱水をさまたげることにより生じたピークであると考えられる.
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