Dental Materials Journal
Online ISSN : 1881-1361
Print ISSN : 0287-4547
ISSN-L : 0287-4547
酸を用いない象牙質面処理
谷 嘉明都賀谷 紀宏
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 14 巻 1 号 p. 58-69,103

詳細
抄録
従来から,象牙質面の処理には,その酸性度の高低,有機・無機に差はあるものの主として酸が用いられてきた.しかし,歯髄保護の観点から,処理液は酸でないほうが望ましい.そこで従来全く着目されていなかった無機物の水溶液による酸を用いない象牙質面処理を試みた.前処理剤として用いたのは,チオシアン酸カリウム(KSCN)(ロダンカリ)の水溶液で,ロダン化物水溶液のもつコラーゲンおよびその変成物(ゼラチン)の膨潤を促進するsalting in効果に着目し,smear layerが良好に除去されることをあきらかにした.また上記の溶液に架橋剤として三価の金属塩(塩化第2鉄,鉄ミョウバン,カリウムミョウバン)を添加した処理液を用いて処理した結果,処理面はsmear layerが良好に除去され,dentinal plugsは閉塞されている所見が観察された.さらに,低濃度のロダンカリ水溶液でもscrubbingすることによって良好に処理されることが分かった.
著者関連情報
© 日本歯科理工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top