抄録
硬化方式の異なる3種の裏層材(デュアルキュアー型すなわち光硬化型グラスアイオノマー,光重合型すなわち光硬化型グラスアイオノマー類似物,化学重合型すなわち従来型グラスアイオノマー)の硬化初期の特性を把握するため,硬化直後から水中浸漬1週間後までの寸法,重量および曲げ強さの変化を測定した.3種の裏層材はそれぞれ異なった変化を示した.水中浸漬1週間までの寸法と重量変化とは3種共に有意な関係にあった.これは吸水膨張によると想像された.曲げ強さはそれぞれ異なり,硬化方式の違いを示す強さの経時的変化がみられた.この結果から,1日以上水中浸漬されることによる吸水膨張によって,裏層材の硬化時に生じる窩洞辺縁部との間隙を防止したり,硬化が進行することによる物性の安定化が期待された.