抄録
非重合収縮性接着レジンの開発のため,2種のラジカル重合性スピロ環モノマー:2-メチレン-1, 4, 6-トリオキサスピロ[4, 6]ウンデカン(MTSU)および2-メチレン-8, 9-ベンゾ-1, 4, 6-トリオキサスピロ[4, 4]ノナン(BTSN)を合成し,これらモノマーと3種の新規重合触媒システムを含有する試作接着レジンの接着性を検討した.Ni-Cr合金あるいは研削エナメル質に対する引張接着強さは,MTSUまたはBTSNの添加量により有意に影響され,その添加量の増加に伴い低下し,負の相関関係を示した.しかし,金属接着では,5wt% BTSNを含有するものが引張接着強さで最も高い値を示し,その接着効果は接着レジン組成のIPN効果に起因することが考えられた.また,DSC結果からも,MTSUと従来のメタクリレートモノマーの共重合の反応速度が一致しないことが示唆された.