抄録
石こう系クリストバライト埋没材による鋳型内部の膨張について検討した.アスベストリボンを裏装した鋳造リングに石英管を挿入埋没して2時間放置後,埋没材の硬化膨張によって生じた石英管周囲のスペースに低融合金を鋳込んだ,また,700°Cまで昇温加熱し,総膨張によって生じたスペースに銀合金を鋳込んだ.得られた鋳造体を樹脂包埋した後,石英管の直径方向に分割し,各断面における合金の厚さを測定した.総膨張について検討する場合には,アスベストリボンの合わせ目に対する石英管の方向を2種類設けた.その結果,低融合金の厚さは測定箇所によらずほぼ一様の値を示したが,銀合金の厚さは異方性がみられ,特にリングの開放端方向およびアスベストリボンの合わせ目の方向の値が大きかった.結論として,鋳型内において硬化膨張は均一に発現したが,加熱膨張において異方性が認められ,その程度は,埋没材周囲の環境に大きく影響を受けることが確認された.