抄録
干渉フィルターを用いて光照射器から狭い波長域の一定強度の光を取り出し,照射時間を変化させて試作光重合コンポジットレジンをフィルム状に重合した.重合した試験片の赤外線吸収スペクトルを残留モノマーの溶出前後で測定し,反応率(DC)および重合率(PC)を求めた.410∼550nmの各波長でレジンを重合することができ,照射量が少ないときは,DC, PCともに波長の影響が認められた.CQの光吸収範囲(410∼490nm)では,照射量が増加するにしたがい,重合に及ぼす波長の影響は小さくなった.最も効果的な波長は470nmであったが,全体的にみて効果的な波長範囲は450∼490nmであると示唆された.また,光重合は照射量の少ない重合の開始段階では,CQの吸光度につよく影響されるが,DCあるいはPCの照射エネルギー量との関係から波長だけでなく照射エネルギー量によっても影響されることが示唆された.