抄録
レジンセメントへのジメタクリレートの添加が熱サイクル後のチタンとレジンの接着強さにおよぼす影響を検討した.チタン円板を研磨,リン酸エステル系モノマーで処理した後,2つのタイプの試作レジンセメントを用いてアクリル棒を接着した.セメントは,トリブチルボランと0-10%のエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)を含むメチルメタクリレート(MMA)およびかたいポリMMAあるいはやわらかいフルオロポリマー(2-6F)というポリマー成分から成っていた.接着した試料は水中での熱サイクル試験を行った後,引張試験を行った.2つのMMAをべースにしたレジンセメントに5%以上のEGDMAを添加すると,熱サイクル試験後の接着強さは急激に低下した.ポリマー成分として柔らかい2-6Fを用いたレジンはPMMAをベースにしたかたいレジンよりも耐久性がすぐれていた.しかし2-6Fレジンでも1%以上のEGDMAを添加すると耐久性は有意に低下した.