Dental Materials Journal
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純ガリウムの純水および濃度の異なる食塩水中における挙動について
洞沢 功子中島 裕高橋 重雄岡部 徹
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1997 年 16 巻 2 号 p. 200-208,226

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抄録
ガリウム合金の腐食機構についての基礎的知見を得るために,純水および食塩水中での純ガリウムの化学的安定性について検討を行った.板状の純ガリウム(99.999%)をイオン交換水ならびに0.01%, 0.1%, 1%と濃度の異なる3種類の食塩水のそれぞれ50mlずつに,温度24±2°Cで全浸漬した.浸漬期間は1日,7日,28日とした.浸漬後,原子吸光分析法にて溶液中へのガリウム溶出量を定量分析した.また浸漬後の試験片表面は,X線回析法とX線光電子分光法にて分析した.28日間浸漬後のガリウム溶出量は,イオン交換水中に比べ濃度0.1%以上の食塩水中では,有意に減少した.X線回析法により,28日間イオン交換水へ浸漬した試験片表面には,GaO(OH)の存在が確認できた.X線光電子分光法においては,イオン交換水と0.01%食塩水中に浸漬した試験片表面に,ガリウム酸化物とガリウム水酸化物の生成を認めた.純ガリウムの化学的安定性は,水溶液中における塩化物イオンの存在によって大きな影響を受けることがわかった.
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