Dental Materials Journal
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16 巻, 2 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 平 雅之, 岡崎 正之, 高橋 純造
    1997 年16 巻2 号 p. 117-126,223
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    テトラエトキシシラン,硝酸カルシウム,リン酸水溶液を出発原料とするゾルーゲル法によって50重量%シリカ,20重量%リン酸,30重量%カルシア組成を有するガラス-セラミックス粉末を調製し,合成特性を熱分析,赤外吸光,X線回折によって調べた.その結果,以下の知見を得た.(1)加熱温度を600°C以上にするとゲル体中の側鎖の炭素が脱離し,シリカ系ガラスマトリックスを形成した.(2)加熱温度を900°C以上にすると,リン酸カルシウムなど4種類の結晶がガラスマトリックス中に活発に生成した.(3)加熱温度が900°C以下の場合,生体親和性を付与する水酸基が多く存在した,(4)融点は1400°C以上であった.(5)本研究で得られたリンとカルシウムを含有するシリカ系粉末は生体活性なインプラント材料として使用可能と考えられた.
  • 伴 清治, 服部 雅之, 成田 潔治, 高田 明昇, 岩瀬 晴彦, 谷川 博伸, 長谷川 二郎
    1997 年16 巻2 号 p. 127-133,223
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    3種の金属溶着用市販歯科用陶材(Vintage, Carrara, Deguceram gold)のデンチンおよびインサイザルのDSC曲線を高温型DSCにより測定した.7∼20°C/minの昇温速度で測定したDSC曲線よりガラス転移温度(Tg)を求め,Tgと昇温速度とのアーレニウス・プロットより活性化エネルギーを求めた.歯科用陶材のTgは酸化アルミニウムの含有量に依存し,活性化エネルギーは酸化ナトリウムの含有量に依存した.Deguceram goldは他の陶材より酸化ナトリウム含有量が高いため低い活性化エネルギーを示した.
  • 李 海衡, 今 政幸, 浅岡 憲三
    1997 年16 巻2 号 p. 134-143,223
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    陶材をリューサイト結晶により強化する場合に有効な地のガラス相の性質について調べた.実験試料としてNa2Oの量が異なる5種の長石ガラスに,高純度天然リューサイト結晶を0, 20, 40%混合した複合陶材(15種類)を用意した.そして,ガラス相とリューサイトの熱的性質,各陶材試料の3点曲げ強さを測定した.その結果,リューサイトを含まない陶材のガラス転移温度,ガラスの変形温度はNa2Oの量が増えると低くなった.また,Na2Oを添加したガラス相をもつ複合陶材では,リューサイトの添加により曲げ強さが有意に高くなった.そして,陶材の強度がリューサイトの変態温度とガラス相の粘度の特性温度との相対的な関係により決まることが示された.以上の結果から,リューサイト結晶の添加により陶材の強度を向上させるには,地のガラス相中の残留応力を制御することが重要であると結論した.
  • Amal Abd El Samad SAKRANA, 田中 康弘, 有働 公一, 久恒 邦博, 熱田 充, 安田 克廣
    1997 年16 巻2 号 p. 144-155,224
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    擬二元系合金[(AuCu)0.86Ag0.14]1-XPtX (x=0∼0.075)のコヒーレント状態図を作成するために,透過型電子顕微鏡法により相の同定と組織観察を行なった.その結果,次の様な7種類の相領域を決定することができた.すなわち,(1) α0 (fcc)単相,(2) (α12) 2相,(3) (AuCuI(L10)+α0) 2相,(4) (AuCuI+α2) 2相,(5) (AuCuII(L10-S)+α2) 2相,(6) (AuCuI+AuCuII+α2) 3相,(7) AuCuI単相領域である.さらに,相変態に関連する微細組織についても考察した.
  • 礪波 健一, 高橋 英和
    1997 年16 巻2 号 p. 156-169,224
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    本研究では歯年齢によって分類した牛歯象牙質を用い,加齢が引張疲労強さと引張強さに及ぼす影響について検討した.若年群および加齢群の牛歯下顎前歯象牙質よりダンベル型の試験片を製作し,引張疲労試験および引張試験を37°C水中で行った.その結果,若年群,加齢群の引張強さはそれぞれ74.0MPa, 72.7MPaであり統計的有意差は認められなかったのに対し,引張疲労強度は若年群,加齢群でそれぞれ51.0MPa, 46.9MPaであり加齢により有意に減少した,破断面のSEM観察では,疲労試験における疲労破壊面と最終破壊面では,明らかな違いが認められた.すなわち,疲労破壊面では管周象牙質の平滑な面と管間象牙質の粗造な面の境界がより明確に識別できた.象牙細管の狭窄,閉塞は加齢群でより多く観察された.このような形態的変化が加齢による疲労強度を減少させたと考えられた.
  • 高 法章, 松家 茂樹, 太田 道雄, 張 建中
    1997 年16 巻2 号 p. 170-179,225
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は従来型および光重合型グラスアイオノマーセメントの侵食過程を明らかにすることである.1種類の光重合型および2種類の従来型グラスアイオノマーセメントをpH 4とpH 6のクエン酸緩衝液に浸せきした.フッ素の溶出はpHに無関係に両タイプのセメントでほぼ同程度であった.他のイオン(Al, Sr, SiおよびP2O5)の溶出量はpH 4においては,従来型よりも光重合型のセメントの方が少なかった.しかし,pH 6においては光重合型セメントと従来型セメントの溶出量は同程度であった.pH 4においては,光重合型セメントの溶解はセメントマトリックス中における溶出イオンの拡散によって律速された.一方,従来型では拡散および表面でのマトリックスの分解反応が同時に進行した.侵食後のセメント表面は上記の溶解過程に良く対応していた.pH 6では,いずれのセメントも拡散が溶解を律速していた.
  • 歯列形態の3次元的診断および計測条件の検討
    若林 一道, 荘村 泰治, 高橋 純造, 小島 哲也, 赤尾 剛, 中村 隆志, 高島 史男, 丸山 剛郎
    1997 年16 巻2 号 p. 180-190,225
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    機能的かつ形態的に調和のとれた歯や歯列弓を解析するために,歯列模型の計測,咬頭頂のサーチおよび隅角部における3次元座標の取得を行うシステムの開発を行った.計測された歯列模型の詳細な形態は,サーフェスモデルを用いたCGにより明確に表示された.
    臼歯では咬頭頂の,犬歯では近遠心隅角部と尖頭頂の,前歯では近遠心隅角部の3次元データを取得した後,歯列弓では4次関数を,前後的および側方的咬合彎曲では2次関数をあてはめた.そしてCGにより,これらの関数を歯列模型のサーフェスモデルと同時表示した.
    一方,咬頭頂の位置の誤差について,50μmから400μmまで計測ピッチを変えて検討した.計測ピッチをあげていくにつれ,誤差も大きくなった.計測誤差,計測時間およびデータ量も考慮すると,計測ピッチは200μmが最も効率的であることがわかった.
  • 岡部 徹, 大元 一広, 中嶌 裕, Margaret WOLDU, Jack L. FERRACANE
    1997 年16 巻2 号 p. 191-199,226
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    水銀と銀から調製されたγ1に1%Pdを含有させるとγ1からの水銀の蒸発量はPd無添加の場合と比べて30%減少することが知られている.本研究は,Pd添加アマルガムからの水銀蒸発量は,その添加量と共に減少し,さらにInも同様に水銀蒸発を減少させるという実験仮説を調べることを目的に行われた.0.5から9%Pdを含有するAg-25%Sn-12%Cuアマルガム用合金粉末を水銀と練和して円柱状アマルガム試料(残留水銀量約62%)を作製した.さらに,3% Pdを含む合金粉末について,1-5% Inを含有する水銀と練和して同様な試料を作製した.硬化中のアマルガム試料からの37°Cにおける総水銀蒸発量を測定した結果,3-9%Pd添加のアマルガムでは有意(p<0.05)に蒸発量が減少していた.Inの水銀への添加もまた試料からの水銀蒸発を有意に減少させた(5%In, p<0.05). Pd添加による水銀蒸気圧の減少とIn添加アマルガムにおける急速な酸化皮膜形成の両者によりこれらのアマルガムからの水銀蒸発量が減少すると考えられた.
  • 洞沢 功子, 中島 裕, 高橋 重雄, 岡部 徹
    1997 年16 巻2 号 p. 200-208,226
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ガリウム合金の腐食機構についての基礎的知見を得るために,純水および食塩水中での純ガリウムの化学的安定性について検討を行った.板状の純ガリウム(99.999%)をイオン交換水ならびに0.01%, 0.1%, 1%と濃度の異なる3種類の食塩水のそれぞれ50mlずつに,温度24±2°Cで全浸漬した.浸漬期間は1日,7日,28日とした.浸漬後,原子吸光分析法にて溶液中へのガリウム溶出量を定量分析した.また浸漬後の試験片表面は,X線回析法とX線光電子分光法にて分析した.28日間浸漬後のガリウム溶出量は,イオン交換水中に比べ濃度0.1%以上の食塩水中では,有意に減少した.X線回析法により,28日間イオン交換水へ浸漬した試験片表面には,GaO(OH)の存在が確認できた.X線光電子分光法においては,イオン交換水と0.01%食塩水中に浸漬した試験片表面に,ガリウム酸化物とガリウム水酸化物の生成を認めた.純ガリウムの化学的安定性は,水溶液中における塩化物イオンの存在によって大きな影響を受けることがわかった.
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