Dental Materials Journal
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歯科領域応用へのNi-Ta系合金の機械的性質
加我 正行青森 継充及川 清太田 守近藤 清一郎大川 昭治
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1983 年 2 巻 2 号 p. 161-168,227

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抄録

新しい系の歯科用賤金属合金を開発するため,Ni-Ta系合金について検索した。Niに3%ずつTaを添加し,Ni-3wt% TaからNi-36wt% Taまでの12組成の合金を溶製し,歯科鋳造法によって引張試験片を作製し,鋳造体の機械的性質,引張強さ,伸び,縦弾性係数,比例眼を求め,硬さを測定し,歯科鋳造用合金としての適否を検討した。
引張強さはNi-21wt%が59.5kgf/mm2を示し,Ni-33wt% Taまでの範囲の組成で平均63kgf/mm2を示した。伸びはNi-3wt% TaからNi-30wt% Taの組成が25∼30%を示した。降伏強さおよび縦弾性係数はNi-24wt% Taの組成がそれぞれ22.5kgf/mm2, 21.4×103kgf/mm2を示し,Ta量の増加に伴って降伏強さ,縦弾性係数が順次増加した。硬さはNi-3wt% TaがHv188を示し,Ta量の増加と共に硬さが増し,Ni-30wt% TaでHv481であった。
その結果,Ni-21wt% TaからNi-30wt% Taの組成の合金は,市販のCo-Cr, Ni-Cr, Co-Cr-Ni系合金の機械的諸性質に匹敵する良好な機械的性質を示し,歯科鋳造用合金として実用の可能性が示唆された。

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