Dental Materials Journal
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2 巻, 2 号
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  • 加我 正行, 青森 継充, 及川 清, 太田 守, 近藤 清一郎, 大川 昭治
    1983 年 2 巻 2 号 p. 161-168,227
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    新しい系の歯科用賤金属合金を開発するため,Ni-Ta系合金について検索した。Niに3%ずつTaを添加し,Ni-3wt% TaからNi-36wt% Taまでの12組成の合金を溶製し,歯科鋳造法によって引張試験片を作製し,鋳造体の機械的性質,引張強さ,伸び,縦弾性係数,比例眼を求め,硬さを測定し,歯科鋳造用合金としての適否を検討した。
    引張強さはNi-21wt%が59.5kgf/mm2を示し,Ni-33wt% Taまでの範囲の組成で平均63kgf/mm2を示した。伸びはNi-3wt% TaからNi-30wt% Taの組成が25∼30%を示した。降伏強さおよび縦弾性係数はNi-24wt% Taの組成がそれぞれ22.5kgf/mm2, 21.4×103kgf/mm2を示し,Ta量の増加に伴って降伏強さ,縦弾性係数が順次増加した。硬さはNi-3wt% TaがHv188を示し,Ta量の増加と共に硬さが増し,Ni-30wt% TaでHv481であった。
    その結果,Ni-21wt% TaからNi-30wt% Taの組成の合金は,市販のCo-Cr, Ni-Cr, Co-Cr-Ni系合金の機械的諸性質に匹敵する良好な機械的性質を示し,歯科鋳造用合金として実用の可能性が示唆された。
  • 小園 凱夫, 柿川 宏, 田島 清司, 林 一郎
    1983 年 2 巻 2 号 p. 169-178,227
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    支台歯形成面をシミュレートした多数の平行V字ミゾをもつ金型および滑沢なガラス面を原型として,セッコウ系歯型材と比較しながらレジン歯型材の表面精度を検討した。エポキシレジン‘ロックモデル’およびポリエーテルレジン‘インプレデュール’は,水成コロイド印象材と接していると,長時間経過してもほとんど硬化が完了しなかった。エラストマー印象材を用いると,組合わせによっては多少表面あれを起こす場合もあったが,一般に良好な再現性を示した。付加型シリコーンゴム印象材‘エクザフレックス’は,使用したいずれの模型材に対しても良好な適合性を示した。とくにレジン系模型材との組合わせによって,原型の滑沢な面およびあらさをもつ面を極めて精密に再現することができた。ロックモデルおよびインプレデュールは表面に固有のあれがほとんどなく,緻密で傷がつきにくく,表面に関してはセッコウ系よりすぐれた有用な歯型材であるといえる。
  • 大野 弘機, 神澤 康夫, 鷹觜 聖子
    1983 年 2 巻 2 号 p. 179-191,227
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Fe, Snを少量含む陶材焼付用金合金(Au 85.5, Pt 6, Pd 6, Ag 1, Fe+Sn 1.5wt%)において,結晶粒界に沿って析出する内部酸化が発見された。この一般の内部酸化機構と異なる現象に対して,著者らは,Fe3+よりもO2-が拡散しやすいFe2O3が粒界に形成し,それを通ってO2-が合金内部へ供給されるために粒界に沿って内部酸化が進行するという仮説を報告した。また,同じ合金系において,Snに富む合金においてのみ,Fe2O3と共にFe3O4が形成されることを見出した。そこで,上記の仮説を検証するためと,これら2つの酸化物の酸化層内における分布を明らかにするためにXMAによる状態分析を試みた。この方法は,数ミクロンの微小領域の化学結合状態を調べるのに適した方法である。その結果,結晶粒界に析出した酸化物は,Fe2O3を芯として,その周囲にSnO2の鞘が形成することが明らかになり,上記の仮説が証明された。また,Fe3O4は,酸化表面に近い領域に多く分布していることが明らかになった。
  • 井上 勝一郎, 藤井 孝一, 池田 昭, 柿内 貞二
    1983 年 2 巻 2 号 p. 192-197,228
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    流し込み型の床用レジンは,加熱重合型の床用レジンに比べて機械的強度が20∼30%低下するといわれている。この理由の一つに,残留モノマー量が加熱重合型のレジンの場合の数倍になっていることがあげられる。
    本研究では,現在比較的よく使用されている流し込み型床用レジン4種類,筆積法で使用される常温重合型レジン1種類について,それぞれ重合後,重合体中に含まれる残留モノマー量をガスクロマトグラフを用いて定量し,残留モノマーと動的粘弾性の関係を調べた。
    さらに加熱重合型床用レジンについても同様の試験を行ない,流し込み型床用レジンの挙動と比較した。その結果,流し込み型床用レジン,常温重合型レジンでは,重合後の時間経過に伴なって残留モノマー量が減少し,それにつれて貯蔵弾性率E'あるいはガラス転移温度Tgがわずかに上昇する傾向がみられた。しかしながらそれらの上昇率は小さく,流し込み型床用レジンあるいは常温重合型レジンを一度重合し,その後あらためて加熱するという操作を加えた場合ほどの上昇はみられなかった。
  • 新谷 英章, 林原 久盛, 村上 淳子, 董 瑞香, 佐藤 尚毅, 井上 時雄
    1983 年 2 巻 2 号 p. 198-203,228
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Bis-MPEPPモノマーを有する疎水性コンポジットレジンMicrorestは,着色性,吸水性が低く,疎水基を有する表面の利点が判明した。
    今回,このような疎水性表面に対して,細菌々体がどのような付着を示すのかをin vitro及びin vivoで検討した。
    Streptococcus mutans HS-6とS. sanguis ATCC 10556を用いたin vitroでの付着実験では,Microrestは従来型レジンに比べ菌体付着が少なかった。S. mutans HS-6による人工菌垢形成実験では,差は認められなかった。試料を口腔内に装着して,口腔内レンサ球菌の付着を調べたところMicrorestはClearfilに比べ,付着菌数が少なく,しかも菌数が増加するのに時間を要した。
    コンポジットレジン表面の疎水性がレンサ球菌の付着を減少させていることが推察され,表面の物理化学的性状が,細菌の付着に影響を及ぼすものと考えられる。
  • 嶺崎 良人, 室屋 学, 東 隆治, 篠原 直幸, 自見 忠, 藤井 孝一, 井上 勝一郎
    1983 年 2 巻 2 号 p. 204-209,229
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    歯科材料を用いて,修復を行なう場合,生活菌の温度伝導率を明らかにすることは,歯髄保護の立場から重要なことである。
    物質の温度伝導率を求める方法はいくつかあるが,著者らは,オングストローム法を用いて,温度伝導率の既知な5種類の物質ならびにヒトの抜去象牙質について測定を行なった。
    その結果,これまで報告されている値とほぼ一致した値が得られ,今回,用いた方法が,温度伝導率の測定法としては優れていることがわかった。更に,この方法では,口腔内で直接,物質の温度伝導率を決定できる可能性があることもわかった。
  • 都賀谷 紀宏, 鈴木 政司, 堤 定美, 井田 一夫
    1983 年 2 巻 2 号 p. 210-219,229
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,純チタンの陶材焼付用金属としての適用性を調べることにある。
    純チタンの熱膨張係数は,従来より用いられている焼付用金属より低く(9.41×10-6/°C, 100∼400°C),従って,本研究では,従来の焼付用陶材よりも熱膨張係数が低く(8.5∼8.9×10-6/°C),しかも,焼成温度が低い陶材を試作し,純チタンとの焼付強度を調べた。
    試作陶材と純チタンとの焼付強度は,160kg/cm2以上を示し,市販焼付用金属とVita陶材との焼付強度とほぼ同等の値が得られた。
    純チタンは,従来の焼付用金合金と焼付用Ni-Cr系合金との中間の機械的性質を有しており,また,これらの合金よりも大きなサグレジスタンスを有していることも考え合わせると,焼付用金属として有望であると思われる。
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