本研究の目的は,純チタンの陶材焼付用金属としての適用性を調べることにある。
純チタンの熱膨張係数は,従来より用いられている焼付用金属より低く(9.41×10-6/°C, 100∼400°C),従って,本研究では,従来の焼付用陶材よりも熱膨張係数が低く(8.5∼8.9×10-6/°C),しかも,焼成温度が低い陶材を試作し,純チタンとの焼付強度を調べた。
試作陶材と純チタンとの焼付強度は,160kg/cm2以上を示し,市販焼付用金属とVita陶材との焼付強度とほぼ同等の値が得られた。
純チタンは,従来の焼付用金合金と焼付用Ni-Cr系合金との中間の機械的性質を有しており,また,これらの合金よりも大きなサグレジスタンスを有していることも考え合わせると,焼付用金属として有望であると思われる。