抄録
切削加工が容易な快削性セラミックスの加工性の原理の一つは,へき開性を有する結晶を素材内部に分散させ加工時に発生したクラックが結晶のへき開性により進展を止められる機構を利用したものである。歯科領域においても最近CAD-CAMによる補綴物製作の試みがなされている。本報では,快削性セラミックスの歯科応用についての基礎的研究の一環として,8種類の市販快削性セラミックスとVitaの焼付陶材用shade guideを用いて色彩色差計による色彩学的検討を行なった。
その結果,長石陶材系のVita shade guideに比較して,いずれの快削性セラミックスも強い不透明感を与える白色を呈することが明らかとなった。今後,産業用に開発された快削性セラミックスを改良して歯冠修復材料として利用するためには,母相と分散相からなる微細構造を変化させ照度(L*)を大幅に下げる必要のあることが示唆された。