薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
YM175の体内動態―14C-YM175静脈内投与時のラットにおける分布および排泄―
中村 英次今崎 一碓井 孝志渡辺 隆樋口 三朗
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1994 年 9 巻 6 号 p. 835-847

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抄録
ラットに14C-YM175を0.3mg/kg静脈内投与した時の分布および排泄について検討し,以下の結果を得た.
1.14C-YM175はラットに静脈内投与後,標的組織である骨に速やかにかつ高濃度に移行し,長期間そこに留まった.その他の組織では,排泄器官である腎臓が投与後5分で骨に匹敵する濃度を示したが,その他の組織における放射能濃度は血漿中濃度よりも低く,特に脳内濃度は低かった.放射能の消失は脾臓,肝臓,骨髄,肋骨および上腕骨で緩やかであったが,その他の組織では比較的速やかであった.
2.上腕骨および肋骨内放射能濃度は2相性の低下を示した.t1/2αはそれぞれ4.8および8.9日,t1/2βはそれぞれ331および214日であった.
3.上腕骨オートラジオグラムにおいて,骨幹端に最も高い放射能が認められた.次いで骨端および骨幹の放射能が高く,骨髄腔への分布はほとんど認められなかった.上腕骨内の放射能は最初に取り込まれた部位に留まり,成長に伴い伸長した部位には認められなかった.上腕骨内放射能濃度は脱灰により,脱灰前値の0.2~0.6%に低下した.
4.投与後168時間までの尿および糞中放射能排泄率は投与量のそれぞれ64.5および2.5%であった,投与後168時間の体内放射能残存率は投与量の32.9%であり,これらを合計した総回収率は99.9%であった.胆管カニューレを施したラットに静脈内投与後48時間の胆汁および尿中放射能排泄率は投与量のそれぞれ0.8および57.0%であった.
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© 日本薬物動態学会
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