2022 年 32 巻 p. 43-48
大学入試の合否判定における1点の重みの意味合いは,特にボーダーライン近傍で予てより議論があった。1点かそれ未満の差異によって合否が分かれるため,その微小な違いに疑念を持たれてきた。この問題は2014年12月に発表された中教審答申でも取り上げられ試験成績の段階表示が提案され,これを受けて大学入学共通テストでは従来の素点に加えて段階表示の成績も提供されるようになった。そこで,共通試験と個別試験を合わせて合否を判定する形態を採っている入試(主には国立大学)において,評価資料として素点に代えて段階表示を導入する際の利活用の方法を模索することにした。素点と段階表示の得点の散らばり具合に注目し,その標準偏差の違いが合否判定に及ぼす影響を検討した。