2022 年 32 巻 p. 49-55
本論は,早稲田大学で実施された卒業生を対象とした調査の分析を通して,入試区分別に在学時の学びとアウトプットの関係を検証する。近年,入試選抜方法が多様化するなかで,一般入試以外への批判言説がみられる。本論では卒業生調査から在学時の学びとアウトプット間の関係を検証した。I-EOモデルを基にした分析から,在学時の学びはアウトプットに繋がっている。特に,ほぼ全ての入試区分において積極的な学習行動は,能力獲得に寄与している。分析全体を通して,一般入試以外の入学者の在学時の学びの熱心さや学習成果は一般入試と比較して決して低いものではなく,むしろ高いものもあることが示された。ただし,調査の回収率は低く,回答者の偏在に留意も必要である。