本研究の目的は,良質な問題の効率的かつ継続的作成に資する作題支援システムの構築を目指すために,個別試験の作題関連業務に従事する大学教員への面接調査のデータから,業務を規定する要因を探索的に抽出し,その背後に仮定される認知プロセスに関する仮説を生成することである。作題関連業務はその手順によって,①作問,②配点・採点基準の設定と採点,③試験実施後の評価,の3つのフェーズに分類でき,各フェーズを規定すると考えられる複数のカテゴリが抽出された。認知プロセスの仮説モデルにおいては,学問分野による違いに加えて,個人のパーソナリティや経験に依拠する信念も一定の影響力を持つ要因であることが示唆され,作題支援の具体的方策についても明確になった。