2025 年 35 巻 p. 145-152
国立大学入試における英語民間試験を活用した大学入学共通テスト(以下,共通テスト)の英語得点優遇制度に関して,グローバルな志向性をもつ入学者を選抜するアドミッション機能としての観点から,A大学B学部C学科の一般選抜を経た入学者を分析対象として検討した。分析の結果,英語民間試験の利用者は非利用者よりもグローバルシティズン尺度により計測された得点が高く,大学入学後に留学を志向する傾向にあることが示された。これらの結果をふまえ,国立大学における英語民間試験の入試活用に関して,導入により期待できる効果と導入の結果生じるリスクの両面を総合的に把握する必要性について議論した。