2026 年 36 巻 p. 31-38
日本の大学入学者選抜において近年導入が広がる「女子枠」は,「STEM 分野の女性比率が国際比較で低い」ことや「多様性」などが実施の根拠とされる。しかし,日本がアファーマティブ・アクションの議論で歴史的に参考にしてきた欧米先進国においては,「女子枠」のようなクォータは四半世紀以上前から「違法な性差別」として禁止されてきた歴史がある。そこで,本研究では,欧米先進国におけるアファーマティブ・アクションの動向を網羅的に取りまとめ,日本における「女子枠」に係る学術文献との対比を行った。その結果,日本の「女子枠」に係る学術文献は,単なる導入事例報告や短期的な女性比率の増加の報告に偏重し,性差別への該当性に係る検討が不足していることが判明した。日本でも違憲の疑いが濃厚な「女子枠」について,慎重な検討と,より妥当で持続可能な施策への転換が緊急に求められる。