動物臨床医学
Online ISSN : 1881-1574
Print ISSN : 1344-6991
ISSN-L : 1344-6991
Case Report
人工心肺装置による体外循環下開心術によって根治した犬の右室二腔症の1例
清水 美希永島 由紀子星 克一郎平尾 秀博小林 正行田中 綾丸尾 幸嗣山根 義久
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 11 巻 3 号 p. 137-142

詳細
抄録
乳糜胸により呼吸困難を示した1歳10カ月齢の雄のラブラドール・レトリバーに遭遇した。心臓超音波検査にて右室腔内に突出する異常構造物が認められ、その直後で乱流を示すモザイクパターンが確認された。連続波ドプラ法による血流速度は5.19m/秒、圧較差は107.7mmHgであった。さらに三尖弁中隔尖の肥厚、および三尖弁逆流が確認された。心カテーテル検査により右室内圧の著明な上昇が認められ、右室造影検査にて右室腔内における造影剤の欠損像が認められた。これらの検査所見より右室二腔症と先天性三尖弁形成不全症が示唆された。その後、頻回の転倒発作が認められるようになり病態の進行が示唆されたため、人工心肺装置による体外循環下開心術により右室流出路における異常な筋肉様組織と膜様物を切除した。術後は、失神発作の消失や圧較差の顕著な減少が得られたことから、犬の右室二腔症に対して人工心肺装置を使用した体外循環下開心術による治療が非常に有用であることが示された。
著者関連情報
© 2002 動物臨床医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top