動物臨床医学
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Case Report
下垂体性副腎皮質機能亢進症の犬3例に対するトリロスタン投与の効果
谷 浩行笹井 和美馬場 栄一郎
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2004 年 12 巻 4 号 p. 191-195

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抄録

下垂体性副腎皮質機能亢進症(PDH)の犬3例にトリロスタンを投与し、その治療効果について検討した。PDHの犬3例に0.2~6mg/kgのトリロスタンを1日1回経口投与し、各症例の来院時毎に完全血球計算検査、血液生化学検査およびACTH刺激試験を行った。3症例とも薬剤投与開始後20日~1カ月で多飲多尿の改善が認められた。脱毛が認められた2症例についてはそれぞれ薬剤投与開始後6および4カ月で発毛がみられた。パンティングおよび活動性の低下が認められた1症例についてはそれら症状が改善された。いずれの症例においても薬剤投与による副作用と思われる症状は認められなかった。薬剤投与開始後、全ての症例において血清ALT値、ALP値、TCho値およびACTH刺激後の血清コルチゾール濃度が漸次減少した。以上のことからトリロスタンは犬のPDHの治療に有効な薬剤であると思われた。

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© 2004 動物臨床医学会
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