動物臨床医学
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12 巻, 4 号
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Original Article
  • 山田 一孝, 河合 ちひろ, 井芹 俊恵, 岸本 海織, 上野 博史, 古林 与志安
    2004 年 12 巻 4 号 p. 181-186
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/11/02
    ジャーナル フリー
    脊髄造影後の後遺障害発生のメカニズムについて、脊髄終末が犬より尾側に位置するウサギを用いて、行動観察、神経学的および病理組織学的に検討した。実験にはウサギ(n=12)を使用し、実験群は、(1)脊髄穿刺群、(2)生理的食塩水注入群、(3)等浸透圧ヨード造影剤イオジキサノール注入群、(4)低浸透圧ヨード造影剤イオヘキソール注入群とした。全身麻酔下で第5-6腰椎間より脊髄穿刺あるいは薬液を脊髄実質内に直接注入し、処置48時間後に行動観察および神経学的検査を、72時間後に病理組織学的検査を行うとともに、切片上での損傷面積率について評価した。神経学的検査では生理的食塩水注入群、イオジキサノール注入群およびイオヘキソール注入群で異常が認められた。また、穿刺部位の脊髄損傷面積率についても脊髄穿刺群と生理的食塩水注入群との間に明らかな差異が認められた。本研究の結果から、脊髄への薬液注入による組織の圧迫は、脊髄造影後の後遺障害を発生させる要因と考えられた。今後、脊髄造影を行う際には、脊髄針からの脳脊髄液の逆流を必ず確認し、造影剤の実質内注入を疑った場合には直ちに検査を中止することを提案する。なお、将来は獣医臨床における、より安全な脊髄造影手技の開発が望まれる。
Case Report
  • 宇野 雄博, 湯本 哲夫, 金刺 祐一朗, 片桐 麻紀子, 余戸 庄作, 佐藤 常男, 山村 穂積, 酒井 健夫
    2004 年 12 巻 4 号 p. 187-190
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/11/02
    ジャーナル フリー
    12歳齢、避妊雌の雑種犬が、約6カ月前からの進行性の排便障害を主訴に来院した。腹部触診、X線、超音波、および直腸内視鏡の検査結果から、背側後腹部から骨盤腔内に生じた腫瘤が、直腸を腹側に圧迫していることが明らかになった。腹部正中からのアプローチによる腫瘤切除術を実施したところ、腫瘤は骨盤腔内の後半部分で固着していて摘出は困難であったので、肛門背側からのアプローチを加えた。このアプローチにより、腫瘤の骨盤腔内における固着部位を鈍性剥離可能となり、分離した腫瘤を腹部正中切開創から摘出した。腫瘤は病理組織検査によって平滑筋腫と診断された。本症例は術後12カ月間経過した現在、再発は認められず排便状態は良好に経過している。
  • 谷 浩行, 笹井 和美, 馬場 栄一郎
    2004 年 12 巻 4 号 p. 191-195
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/11/02
    ジャーナル フリー
    下垂体性副腎皮質機能亢進症(PDH)の犬3例にトリロスタンを投与し、その治療効果について検討した。PDHの犬3例に0.2~6mg/kgのトリロスタンを1日1回経口投与し、各症例の来院時毎に完全血球計算検査、血液生化学検査およびACTH刺激試験を行った。3症例とも薬剤投与開始後20日~1カ月で多飲多尿の改善が認められた。脱毛が認められた2症例についてはそれぞれ薬剤投与開始後6および4カ月で発毛がみられた。パンティングおよび活動性の低下が認められた1症例についてはそれら症状が改善された。いずれの症例においても薬剤投与による副作用と思われる症状は認められなかった。薬剤投与開始後、全ての症例において血清ALT値、ALP値、TCho値およびACTH刺激後の血清コルチゾール濃度が漸次減少した。以上のことからトリロスタンは犬のPDHの治療に有効な薬剤であると思われた。
  • 塚根 悦子, 高島 一昭, 片岡 智徳, 山根 義久
    2004 年 12 巻 4 号 p. 197-199
    発行日: 2004年
    公開日: 2007/11/02
    ジャーナル フリー
    雄、1歳齢の雑種ウサギが食欲不振を主訴に来院した。腹部X線検査により胃の後方に腫瘤を確認した。腹部超音波検査においては大きさは35.0×29.7mmであった。開腹手術を行ったところ、腫瘤は遠位結腸に著しい癒着が認められ剥離困難であったため、結腸の一部を切除し端々吻合を行った。腫瘤は膿瘍であり、中心部には毛と糞様物を含んでいた。腫瘤内容物の培養結果ではグラム陰性桿菌のEsherichia Coliが検出された。
     本症例の腫瘤は、腸管穿孔により腸内容物が腹腔内に流出した結果生じた膿瘍であることが示唆された。
Teaching Report
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