2017 年 26 巻 4 号 p. 171-175
食後にみられる神経症状を主訴に来院した5カ月齢のトイ・プードル,雄に対し,門脈体循環シャントを疑ってCT検査を実施したところ,胸腔内および腹腔内のすべての臓器の配置に左右逆位を認めた。さらに,門脈体循環シャント(脾静脈-奇静脈シャント)と後大静脈欠損奇静脈連結および脾臓の形態異常も確認されたことから,本例を内臓錯位と診断した。門脈体循環シャントの治療法として短絡血管の結紮術を勧めたが,飼い主から同意が得られなかったため,内科的治療のみで経過観察を行うこととした。その後,一般状態は良好に推移していたが,3歳時に自宅にて急死した。本症例の死因については,内臓の配置が逆であることが直接的に関連しているとは断定できなかった。