日本土壌肥料学雑誌
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テンサイのカリウム施肥,リン酸施肥及び栽植密度の変動が収量・品質に及ぼす影響と土壌分析値との関連について
鷹田 秀一 渡部 敏裕大崎 満
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2018 年 89 巻 2 号 p. 95-107

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抄録

1990年に北海道十勝地方の31圃場においてカリウム・リン酸施肥,栽植密度試験を実施した.これら3試験は同一圃場内に併設設置され,いずれも1区面積15 m2で無反復ランダム配置のプロット試験で,カリウム施肥試験は0から249 kg-K ha−1(300 kg-K2O ha−1)間の7水準,リン酸施肥試験は0から273 kg-P ha−1(625 kg-P2O5 ha−1)間の6水準,栽植密度試験は50,000本ha−1から90,000本ha−1間の7水準である.これら施肥や栽植密度の変動がテンサイの収量・品質に及ぼす増減効果を数値化するために,圃場別にカリウム施肥量,リン酸施肥量,栽植密度をそれぞれパラメーター(x),各テンサイ形質を目的変数(y)として直線回帰係数を算出した.さらにこれら回帰係数と土壌分析値の相関を求め,圃場による変動の違いと土壌分析値の関連を検討した.根重及び糖量ではカリウム及びリン施肥の回帰係数といくつかの土壌分析項目で有意な相関が認められ,これら有意な相関全てで正負が逆転していた.またカリウム及びリン酸施肥回帰係数相互間に有意な負相関関係が見いだされた.そこで「A群:カリウム施肥効果が高くリン酸施肥効果の低い圃場」 「B群:カリウム施肥効果は低いが,リン酸施肥効果の高い圃場」「C群:カリウム施肥,リン酸施肥共に効果の高い圃場」の3群の存在が考えられた.カリウムおよびリン酸施肥の糖量回帰係数を特性値として階層型クラスター分析を実施した.さらに圃場がいずれの施肥反応群に属するかを土壌分析値を用いて予測する手法の検討を行ない,正準判別で土壌分析値よりA・B・C各群の判別を行い,グラフ上に糖量のカリウムおよびリン酸施肥効果推定値をプロットするEXCELプロトタイプシートを作成した.本モデルはテンサイの圃場試験から導き出された圃場判別モデルであるが,他作物も含め圃場のカリウム・リン酸肥効特性を推測する上で一助になるものと考えられた.

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© 2018 一般社団法人日本土壌肥料学会
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