日本土壌肥料学雑誌
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水稲への放射性セシウム移行性を示す土壌指標としての交換性放射性セシウムと非交換性カリウムの比較
若林 正吉 藤村 恵人江口 哲也中尾 淳矢内 純太
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2025 年 96 巻 4 号 p. 349-361

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抄録

本研究では,交換性カリウム(Ex-K)低下時に玄米への放射性セシウム(Cs)移行係数が高まる懸念のある圃場を見分ける土壌指標として,交換性放射性Csと非交換性K(Nex-K)に着目し,両特性値の性質を比較した.まず,福島県内水田152地点のデータセットを用い,玄米への137Cs移行係数とEx-K, 交換性137Cs(Ex-137Cs)割合(Ex-137Cs濃度/土壌137Cs濃度の百分率),Nex-K(熱硝酸抽出法)との関係を解析した.いずれの土壌指標も137Cs移行係数と有意な相関を示したが,Ex-Kの影響を排除した偏順位相関係数(ρEK)で137Cs移行係数との相関性を比べると,Ex-137Cs割合(ρEK=0.65)のほうがNex-K(ρEK=−0.50)より強かった.この解析では,両特性値の間に有意な相関(ρ=−0.47)が認められた.そこで両特性値の効果を区別するために,この相関から値が逸脱していた水田19圃場の土壌を用い,水稲の幼植物栽培試験を行った.栽培の前後で,Ex-137Cs割合は土壌により大きく変動(半減~42倍増)したが,Nex-Kの変化は平均8%減と小さかった.地上部への137Cs移行係数に対する相関は,栽培後のEx-137Cs割合のみが有意(ρEK=0.51)だった.水稲への放射性Cs移行係数との相関性(ρEK)は交換性放射性Cs割合のほうが高いが,分析値が変動しにくいという面ではNex-Kのほうに土壌指標としての利点があり,現場利用の際は,この違いを理解して場面に応じて使い分けるべきと結論づけた.

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