今回、東京、新潟県三条、大阪の鉋台製造業者の訪問調査を行なった。鉋台は、かつては使い手が自ら造るものであったが、社会状況の変化に伴い、既製品が流通するようになり、鉋台製造専門の職人が「台屋」として成立した。鉋台の材質はおもに白樫で、秋から春にかけて伐採した材を乾燥させて使用する。明治期には割材が使われたが、昭和に入ると量産できる挽材が主流になった。以前は台屋が木工所から素材の板を仕入れ、使用に応じて小割していたようだが、現在では、鉋一挺分に製材されたものが流通している。鉋台の加工は、刃を五分の状態で仕込み、使い手が最後の仕上げをする五分仕込みの台から、完全に刃を仕込んだ本仕込みの台へと変化した。昔ながらの手彫りの職人は減少し、現在では機械彫りが主流になっているが、仕上げには手作業が欠かせない。