抄録
沖縄県海洋深層水研究所では2013年から,実海水を用いた海洋温度差発電(OTEC)の実証研究が開始され,6年間の連続運転が行われた.久米島では,エビや海ぶどうの養殖などの水産業,農業,浴用,飲料水や化粧品の製造などに海洋深層水が利用され,島内の大きな産業へとつながっている.今後,海洋深層水の取水量増加による関連産業の拡大やOTECの導入が検討されている.一般的に,海洋深層水は,低温安定性,清浄性,富栄養性などの特性が知られているが,久米島東側海域における海洋の栄養塩や主要元素などの鉛直分布の基礎データは殆どない.そのため,本稿では,久米島東側においてCTD観測を実施し,水温,塩分,溶存酸素量の鉛直分布を計測した.それらのデータを整理し,既往のデータとの比較と共に久米島近海におけるOTECのポテンシャル,海洋深層水複合利用に必要となる栄養塩類の基礎データを明らかにした.