海洋深層水研究
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正常ヒト由来線維芽細胞の石灰化に対する電気透析海洋深層水とアルカリフォスファターゼ活性阻害剤の相乗的抑制効果
山田 勝久柴田 雄次山本 樹野村 道康
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2021 年 22 巻 2 号 p. 29-37

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抄録

海洋深層水(DSW)は,UVA照射により生じる正常ヒト皮膚由来線維芽細胞(NHDF)の石灰化を抑制する.以前著者らはUVA照射により生じるNHDFの石灰化において,アルカリフォスファターゼ(ALP)活性の亢進が誘導されることおよびDSWがALP活性の亢進を制御することを報告した.本研究の目的は,DSWおよび2種の周知のALP活性阻害剤を用いて,UVA照射により生じるNHDFの石灰化とALP活性の関係を検討することである.本研究にあたり,ウサギの角膜由来細胞(SIRC)を用いた刺激性試験において,電気透析された海洋深層水(EDW)の評価がDSWより良好であったので,EDWを本研究の対象とした.初めに,UVA照射により生じる石灰化に対する影響を検討し,次にALPの活性に対する影響を検討した.別に,ALP活性阻害剤であるSodium etidronate(ETA)およびHomo arginine(HA)のUVA照射により生じる石灰化に対する影響を検討した.その結果,EDWを含むALP活性阻害成分によるUVA照射で生じるNHDFの石灰化抑制効果は,単独では限定的なものであった.そこで最後に,EDWとALP活性抑制剤との同時使用によるUVA照射により生じるNHDFの石灰化に対する作用について検討した.その結果,それらの同時使用はUVA照射により生じるNHDFの石灰化を顕著に抑制した.この結果は,EDWおよびALP活性阻害剤のALP活性阻害効果の和だけでは説明できないことから,これらの同時使用はUVA照射により生じるNHDFの石灰化に対して相乗的な作用を有することが示唆された.

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© 2021 海洋深層水利用学会
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