21世紀東アジア社会学
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特集 3 21世紀東アジアの内と外―アジアの連携をめぐって
東アジア共同体構想のリアリズム
―ビジョンに終わらせないステップを考える―
河野 道夫
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2021 年 2021 巻 11 号 p. 178-190

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抄録

 東南アジア諸国連合(ASEAN10ヵ国)に日中韓を加えた13ヵ国(ASEAN Plus Three=APT)が、2001年に「東アジア共同体」を提起してから今年で20年になる。このAPTにオーストラリア(豪)とニュージーランド(NZ)を加えた15 ヵ国は2020年、地域包括的経済連携(RCEP)協定を締結するなど進展もあったが、南沙諸島・尖閣諸島など領土問題や、徴用工・従軍慰安婦など戦争責任と戦後処理の問題があり、いまだに「東アジア人」としての一体感や連帯感の育つ環境ではない。しかし、それは主として政府間のことで、日常生活の中では人々の国境を超えた接触・交流の機会が増大し、次第に視野は東アジアに拡大している。 本稿は、その状況の中で東アジア共同体「構想」を推進するための基礎的で現実的なステップを追求する。

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© 2021 日中社会学会
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