抄録
本論文においては, ファイトトロンの温度制御系のアナログシミュレーションが議論されている.ファイトトロンにおける現象は設定温度, 外気条件により大きく変わり, したがってその特性の把握は実験データのみからでは充分といえない.ここにシミュレーションによるアプローチが重要な意味をもつ.温度制御系のアナログシミュレーションは制御系の時定数, むだ時間, 制御動作およびファイトトロンにおける初期条件や外気条件を実際のデータから与える必要がある.時定数は5~10分, むだ時間は1~2分, 加温の制御はPI動作, 冷却の制御は3位置動作のオンオフ制御をそれぞれ実際のファイトトロンに基づき設定した・アナコンによるシミュレーションの結果, 次のことがらが結論できる.
1) 制御系の最適調整: これは設定温度, 負荷, 制御特性パラメータ (L/T) , 制御動作パラメータとの相互関連で定まる・その特性はFig.6~8の関係で示される.たとえば, 制御の安定性については, L/Tの値が小さいほうがよい (1/20>1/10>1/5) .P動作は安定性はよいがオフセットが欠点である.I動作はオフセットに効果的であるが安定性が悪い.それゆえ, 制御動作の最適調整はそのときの設定温度と負荷と特性パラメータ (L/T) とを考慮してグラフから求めねばならない.
2) 温度制御系の相対湿度への影響: これは温度プログラム制御における過渡状態では特に重要である.温度がt-xチャート上を5℃/stepのように大きく変動する場合, 湿度の動特性は重要であるが未解明の問題であった.冬期の条件で加湿の動特性が, 夏期の条件で除湿の動特性が求められた.とくにスプレー水温と設定温度との関連での加湿の動特性, および冷却で生じる除湿の動特性は, アナログシミュレーションでその全貌がはじめて把握された.たとえば, Fig.19ではいくつかの設定温度における温度制御系の冷凍機のオンオフと, その除湿限界と相対湿度の変動の振幅との関係が示されている.
3) 非線形要素: オンオフ制御によるリミットサイクルの性質がアナログシミュレーョンから求められた.