抄録
黒ボク土壌に在来種タバコの白遠州を栽培し, 畦上チューブかん水によるかん水区と, 無かん水の対照区を設定し, 土壌水分変化の経過, 葉面積増加, 乾物重増加, 葉細胞液の浸透ポテンシャル, 葉片の水ポテンシャル, 葉の内容成分, 収穫葉の収量・品質をしらべた.降雨が少なかったため対照区では土壌水分が減少し, 葉面積増加が抑制され乾物重増加が少なかったが, かん水区では葉面積・乾物重とも著しく増大した.対照区ではかん水区にくらべ圧ポテンシャルが小さくなっていた.中, 下位葉の脱水速度は上位葉より大きく, また, 中位葉ではかん水区のほうが対照区より脱水速度が大きかった.対照区のタバコのクロロフィル含量の低下がかん水区のそれにくらべて著しく急速であった.かん水区では収量・品質とも向上し, ニコチン含量はやや低かった.